朝日新聞DIGITAL
作曲家の船村徹さん死去 「王将」「矢切の渡し」
2017年2月17日12時19分
「別れの一本杉」「王将」「矢切の渡し」など多くのヒット曲を生んだ作曲家の船村徹(ふなむら・とおる、本名福田博郎=ふくだ・ひろお)さんが16日、死去した。84歳だった。
32年、栃木県塩谷町生まれ。親友だった作詞家の高野公男さんとコンビで作った「別れの一本杉」(春日八郎)が55年に大ヒット。以来、涙や故郷、別離を歌に込め、大衆の心をつかんできた。
コロムビア専属時代の代表曲は「東京だョおっ母さん」(島倉千代子)、「王将」(村田英雄)、「矢切の渡し」(ちあきなおみ他)など。78年にフリーになってからも「風雪ながれ旅」(北島三郎)や「兄弟船」(鳥羽一郎)、「みだれ髪」(美空ひばり)などを手がけ、作品は計4千曲を超す。
門下生も多く、歌手の北島三郎さん、鳥羽一郎さんのほか、作曲家の三木たかしさんらが師事。「演歌巡礼」と銘打ち、自らもギターを抱えて全国を回り、ナイトクラブや刑務所で歌った。日本作曲家協会理事長、日本音楽著作権協会会長などを務め、03年に旭日中綬章を受章。昨年、歌謡界で初めて文化勲章を受章した。
(後列左から)北島三郎さん、舟木一夫さん、森サカエさんに囲まれた船村徹さん
昨年、文化勲章を授賞された後も、創作活動への情熱を語っていらした先生ですから、まだまだ、これからもお元気でたくさんの心に沁みる作品を生み出してくださるものと嬉しく思っていました。
それなのに、こんなに突然にお別れが来てしまうなんて、本当に寂しく悲しすぎます。でも、本当に数限りない名作が日本の流行歌の歴史の中で燦然と輝き、むしろ、その光の大きさ、強さ、美しさは、亡くなられたあとにこそ、しみじみと感じられるような気がします。舟木さんは、船村メロディーの力強さは、多くの人の知るところで、あるけれど、船村先生ほど「美しいメロディー」を作られる作曲家はいない…というようなことをステージでも常におっしゃっています。力強さの中の美しさ、美しい繊細なメロディーでありながらほとばしるような命の息吹のようなものが脈々と波打っている…そんな作品の生命力を、あらためて感じつつ、「その人は昔」のテーマを聴きたいと思います。
その人は昔のテーマ
アルバム「その人は昔」レコーディング風景
きっと、盟友の高野さんとあちらで、つもるお話しをゆっくりとなさることでしょう。どうか安らかにおやすみください。先生、本当に、本当に、ありがとうございました。