船村徹作品、歌っていくことが供養 舟木一夫さんら悼む
江戸川夏樹
2017年2月17日21時51分
■歌手の舟木一夫さんの話
船村先生の訃報(ふほう)に接して、今はさびしいとか、悲しいなどという言葉では言い表せない気持ちです。
19歳のときに初めて曲を書いていただいて以来、60~70曲はいただいています。
僕が29歳から30歳のころ、歌手をやめようと思ったことがあり、夜中に突然、船村先生から自宅に電話がかかって来て、「歌手を辞めるって聞いたけど、本当か」「辞めるのは君の勝手だし、自由にすればいいけど、俺の大好きな『夕笛』はいったい誰が歌うんだ」といって、電話を切られました。その時、「男の仕事とは、歌手が歌を歌うということは、そういうことか」と思い、辞めるのを思いとどまりました。船村先生からの電話がなければ恐らく歌手を辞めていたと思います。一生の恩人です。
「巨星逝く」という古い言葉がありますが、まさにその想いです。先生が居て下さるだけで、流行歌の世界の重しとなっていました。
僕ら歌い手が、いただいた作品をそれぞれ歌っていくことが、供養でありご恩返しだと思います。
■船村さん最後の内弟子、歌手の村木弾さんの話
亡くなる3日前と10日前の2回、レッスンしてくださいました。レッスンが終わった後、「だいたいわかるよな。あとはお前次第だからな」とおっしゃって下さいました。
先生の内弟子として12年半、身の回りのお世話などもさせていただきましたが、兄弟子がみな巣立っていかれたあとの最後の3年間、ずっと一緒でした。毎日、お酒を飲んだり、テレビで野球や相撲を見たりしながら、たくさんお話を聞かせていただきました。また、色々なところへも連れて行っていただきました。
厳しいけれど、決して怖いということではなく、心の広い温かい先生でした。
「ござる~GOZARU~ 」に次ぐ村木弾さんの新曲が、4月に発売されるそうです。作詩が舟木さん、作曲が船村先生とのこと。デビューからちょうど一年での船村先生のご逝去。最後のお弟子さんのデビューと成長を見届けてられての旅立ちだったともいえます。