映画「北国の街」(1965年3月20日公開)
富島健夫:原作「雪の記億」
倉本聰:脚色
柳瀬観:監督
舟木一夫(小島海彦)/和泉雅子(志野雪子)/山内賢(藤田)ほか
倉本聰:脚色
柳瀬観:監督
舟木一夫(小島海彦)/和泉雅子(志野雪子)/山内賢(藤田)ほか
3月28日に長野ホクト文化ホールで開催された舟木さんのコンサートの翌日に、ずっと気になっていた映画「北国の街」のロケ地である飯山まで足を伸ばしました。長野駅から飯山線・戸狩野沢温泉行の列車に乗って1時間弱で飯山駅に到着しました。
この映画の中で重要な役割を担ったのが飯山線です。舟木さん演じる小島海彦と和泉雅子さん演じる志野雪子という高校生の恋は、この飯山線の列車の中で芽生えます。映画では、飯山駅、信濃城北駅、信濃平、戸狩…という四つの駅名が映し出されています。
~いずれも映画のカットより~
飯山駅、信濃平、戸狩(現・戸狩野沢温泉)は実在する駅名ですが、信濃城北駅というのは、架空の駅名です。映画の中では、この信濃城北駅で海彦も雪子も降りてそれぞれの高校に登校しています。
ここから先は、あくまで私の想像の範囲を越えるものではありませんのでザックリと読み流してくださいね(笑)
「城北」という名前に注目すると、飯山城の北に位置するという意味ととれます。そして、映画の中に出てくる高校の裏山にあると思われる神社は、飯山城址の中にある葵神社だと思います。
山内賢さん演じる藤田と海彦が高校の校庭で話している場面も飯山ロケで撮ったようですので飯山城址に近い北側に位置する高校だと思いますから現在の飯山高校(現在は近隣のいくつかの高校が統合されている)かと思います。そこから想像すると信濃城北駅というのは実際の立地としては北飯山のようです。*地図の中央の一番下にグリーンの部分がありますが、そこが飯山城址公園です。
映像を観てると海彦は飯山駅から乗車していますから飯山在住と思われます。また、映画で初めて海彦が雪子の家を訪問する場面がありますが、雪子の家は戸狩駅です。飯山線の路線図を見ると飯山、北飯山、信濃平、戸狩野沢温泉という並びになっています。
海彦と雪子は通学時に同じ方向に向かう列車に乗り合わせていますが、もし映画の中で高校のある駅を北飯山とすると、矛盾が起きてきます。海彦が飯山から北飯山へ、雪子が戸狩から北飯山へ通学していることになりますから同じ列車に乗り合わせることはありません。そこで、映画の中では、北飯山とせず「信濃城北駅」という架空の駅名にしたのかな…と推測しました。いずれにしてもフィクションですから、細かな詮索はまあ、どうでもいいことですが…(笑)
飯山線は、本数がとても少なくて、乗り降りをしようと思うと、2時間ほど待たなくてはなりませんから、時間の関係で私が行けたのは飯山駅と北飯山駅のみです。
飯山駅から北飯山駅までは、地方のJR線としては区間が短くて歩ける距離でしたので、飯山駅で降りて、北飯山駅まで街中をブラブラと散策しました。飯山駅は今では北陸新幹線が停車する駅にまで昇格?して立派になっていますが、一歩駅から出ると、街並みの開発は幸か不幸かあまり進んでいないようで、古い情緒が残っていました。
以下は飯山駅から北飯山駅までの行程で撮った写真です。
舟木さんを含む、映画のスタッフの皆さんが宿泊されていたホテル「ほていや」
雪国ならではの雁木造り。仏壇屋さんがたくさん並んでいます。
雪がまだ結構残っていて雪吊の風景もしっくりきます
私がリアルタイムで映画「北国の街」を観たのは中学一年から二年に進級する春休みでした。親戚の家が静岡にあったので春休みに遊びに行っていた時に静岡駅前の映画館で観ました。3月末頃に観たと思いますから封切り直後だったんでしょうね。
思春期だった私にとって一番印象深かったシーンは高校の帰りの列車がなだれでこの先不通となるので、この列車を利用してくださいというアナウンスがホームに流れて、高校生たちが我先にと列車に乗り込むくだりです。
海彦がもう既に満員となった列車のデッキの戸口のところまで行った時に、あとから雪子が「乗せてください!」と必死の表情でやってきます。海彦は雪子を先に乗せてやり、その後ろで雪子をガードするような形になります。列車が走り始め、強風で海彦の学生帽が飛ばされてしまいます。この出来事が二人の仲を急速に接近させることになるのですが、雪子は海彦の帽子が飛ばされたのは私のせいだと言って、一緒に帽子を探すことになります。
そして、その次のシーンは二人が列車を降りたところが画面に映りますが、その駅が信濃平です。そこから二人は線路伝いに帽子を探して歩きはじめます。ここのシーンが、とってもロマンチックで、まだ中学生でしたが、こんな風に一面の銀世界を線路伝いに好きな彼氏とふたりきりで歩いている近未来の高校生になった自分を、ちょっとばかり想像してドキドキしました。
信濃平駅で次の列車を待つふたり
海彦は、信濃平から雪子の家のある戸狩まで送っていきます。
結局、帽子は探し出せず、二人はまた信濃平駅に戻りますが、次の列車が車で2時間もある…と海彦が言うように、帰りはとっぷりと日が暮れてしまいます。帰りが遅くなったので、海彦が雪子を戸狩駅まで送りとどけ、自分は長野方面行の上り列車に乗るのですが、その別れ際の二人の切なく互いに心を残す心情が、「北国の街」のワンコーラス目を彷彿させます。
名残が燃える 心が残る
ふたりで帰る アカシアの道
今夜だけでも そばにいて
眺めていたい ひとつ星
ぼくたちだけの よろこびが住む
北国の街
大人になってDVDを見直してみて、一番気に入ったシーンは、初めて海彦が雪子の家を訪ねて、戸狩駅で降りて出迎えた雪子に、地図で調べてきたので家までの道はカンペキに覚えてるから案内はいらないと言って、雪子の先にたって歩いていくシーンです。
これが、そのマイ・ベストワン・シーン
海彦の舟木さんのお茶目なポーズと表情、そして何より、マコちゃんがチャーミングで男子でなくてもカワイイ!と抱きしめたくなるほど「恋する乙女」のあふれる想いを身体中で表現していて胸がキュンとなります。これは、自分がトシをとってこの時の二人のおばあちゃん世代になったからこそ感じられる心持なのかもしれません。初恋のまっただなかにいる、若い二人のゴムまりのようにはずんだ想いが、愛おしくてならないシーンです。
舟友のkazuyanさんが、私の撮影してきたヘボな写真から素晴らしい動画を作成して下さいました。「北国の街」訪問の舟旅の思い出が動画作品となって感激もひとしおです。
BGMは、もちろん、映画の主題歌「北国の街」、そして、挿入歌「初恋の駅」
心からの感謝と共にご紹介させていただきます。
映画「北国の街」ロケ地・飯山を訪ねる舟旅 Bgm♪初恋の駅♪北国の街 舟木一夫さん
https://youtu.be/CC7mYIqOQN8
https://youtu.be/CC7mYIqOQN8
舟木さんが「北国の街」ロケだよりを当時の「雑誌・近代映画」に寄稿なさっている記事があるので、また後日になりますが、ご紹介させていただく予定です。