時々ご紹介している懐かしい雑誌掲載の記事ですが、今回は女子中学生・女子高生向けの雑誌「美しい十代」(学研)から。「女学生の友」(小学館)には及ばないもののジュニア小説や、スターの特集記事、おしゃれ、マナー、などなど、女の子たちが興味を抱く内容の雑誌でした。私は、「女学生の友」を愛読してましたが、マンガ「小さな恋のものがたり」は「美しい十代」に連載されていて気になっていました。ご紹介する号は、小百合さんが表紙の1966年お正月号です。欲しかったのですが、リアルタイムではあきらめて買っていません。最近、オークションで手に入れたものです。ちなみに私はこの当時、中二です。
チッチとサリー。この段階ではまだ、チッチ、サリーではなく、チビコとカレ…だったようです。
綺麗で活発で理知的な小百合さん。小学生の頃からず~っと、あこがれでした~ッ
美しい十代 1966年1月号 新春特別企画 トップスター対談
ウマが合うのに共演できない!
本誌の"あなたの選んだ紅白ベストテン”一九六五年度のベストワンには、吉永小百合さんと舟木一夫さんがそれぞれ選ばれました。晴れて人気ナンバーワンになったふたりの、ゆく年、くる年に思う心のうちは――。
舟木さんは「高原のお嬢さん」、吉永さんは「四つの恋の物語」で、ともに多摩川の日活撮影所で撮影中。撮影所の昼休みには、スターたちのはなやかな談笑風景があちこちに見られます。本誌の紅白ベストテン。昭和四十年度第一位のトロフィーを吉永、舟木さんに贈呈したあと、舟木さんの控え室に吉永さんを迎えました。「日活の看板女優さんが、ぼくのへやへいらっしゃるなんて・・」と舟木さんは恐縮しながらさかんにテレています。
●ウマが合う仲です
本誌:おふたりとも、断然トップで一九六五年のベストワンに選ばれました。おめでとうございます。ところで、舟木さんは、二年連続トップ、吉永さんは三年連続トップですが、感想はいかがですか、舟木さん?
舟木:どうもありがとうございます。ぼくの場合はほんとに偶然です。決して名実ともにじゃなく・・。吉永さんは、ほんとうにスターの中のスターですが。
吉永:舟木さんってうまいわねぇ。それより、背広がよくお似合いよ。
舟木:たちまち逆襲してくるんだから、マイッタマイッタです。
吉永:舟木さんもなかなか人が悪いわよ。「高原のお嬢さん」をなかなか教えてくれない(笑)
舟木:吉永さんのこんどの映画は?
吉永:「四つの恋の物語」というお正月作品です。舟木さんたち毎日楽しそうね。、ケンちゃん(山内賢)やマコちゃん(和泉雅子)たちとにぎやかで。
舟木:日活映画は七本目ですからすっかりなじんじゃったんですよ。若い人も大勢いるから気分的にも楽しいです。
本誌:おふたりは映画じゃ共演したことがないんですね。
舟木:ええ、そうなんですよ。いま共演してもぼくの演技じゃとてもたちうちできないけど。
吉永:いまのところ、会社の企画で舟木さんと共演するという話はないわね。
舟木:ぼくが映画に出演する時は、たいていは自分の歌を映画化したものでしょ。そうすると、吉永さんはビクターの秘蔵っ子歌手でもありますから、そういうことでも、むずかしいことなんですね。
本誌:もちろん、デュエットでうたうなんてこともできない。
吉永:余興ぐらいならね。舟木さんとは、テレビの歌番組で、何回かごいっしょしただけです。
舟木:ほら、ぼくはごらんのとおり長い顔をしているでしょ。
吉永:私は丸いほうだから、舟木さんと並ぶとますます丸く見えちゃうの。そういう点でも共演はむずかしい(笑)
舟木:ウマが合いそうだと思うけど(笑)
吉永:イヤーダ(笑)
本誌:そうすると、ファンが一番期待している吉永・舟木共演という映画はなかなか実現しにくいわけですね。
吉永:そうですね。でも、いつかは。
舟木:その節はよろしくお願いします。ぼくは、十二月十二日で、もう二十一才なんだけど、お互いにあまり年をとらないうちにやりたいですね(笑)
●家族は空気と同じ
本誌:吉永さん、舟木さんともに、いろいろな魅力にあふれていますが、お互いにどうのような魅力を感じていますか。
吉永:舟木さんの魅力はやはり歌の魅力だと思うわ。リリカルで若い人の共感を呼ぶのも当然ですね。それに、舟木さんの清潔な人柄がプラスされて・・・。
舟木:どうもありがとうございます。吉永さんの魅力は、女優としてよくご自分を知っていらっしゃるところにあると思いますね。ですから、演技でも歌でも、いつも自然で、吉永さんでなければならない味があるわけです。それが大きな魅力ですね。
吉永:舟木さんは歌手になって・・・。
舟木:ちょうど二年半になります。
吉永:すっかり自信が出てきたようね。
舟木:いや、とんでもない、自信だなんて、まだまだです。それより、なにかファイトがますます出てきたような気がするんですよ。
本誌:この一年を振り返ってみていかがですか。お仕事の面やプライベートな面でとくに思い出に残ることは・・・。
吉永:そうですね、私はやはり、五月に、労音でリサイタルをひらいたでしょ、それですね。
舟木:映画のお仕事では?
吉永:そうね、出演した作品の中じゃ「青春のお通り」とか「父と娘の歌」というのは好きな作品ですね。特別な大作というようなものはなかったけど。
本誌:映画界が一般には不況といわれますけど、吉永さんにも影響しましたか?
吉永:それはまた別だと思いますけど。でも、これからは、お客さまに信用されるような映画を作っていかないと映画界はたいへんなことになりますね。
本誌:舟木さんなどは映画界の不況という問題については?
舟木:ぼくはちょっといえる立場じゃないんですよ。ただぼくは、いろいろと出演させてもらってるんですから少しでも映画界に役立てばと思っています。
吉永:舟木さんはこの一年たいへん活躍しましたね。
舟木:それほどでもないですが、ことしはいろんな歌を歌いましたから、その点ではしあわせでしたね。「渚のお嬢さん」や「高原のお嬢さん」といった新しいリズムをいれた歌を歌ったということだけじゃなく、ぼくのもっている味を発揮できるいろんな感覚の歌を歌えたことはよかったですね。
吉永:最近はお人柄も歌も、すっかりおとなになったみたい。
舟木:ぼくの口から言うのも変ですけど、この一年間は、精神的な面でもたくましくなったような気がします。
本誌:家族といっしょに住んでいるということも落ち着いてきた一つの原因?
舟木:ええ、そういうことは、よくいわれますが、家族が身近にいても特別のことはないと思いますよ。
家族なんて空気みたいなものだからね(笑)
吉永:空気はやはりあったほうが・・・(笑)舟木さんは、デビューの頃よりはだいぶやせましたよね。私なんかぜんぜん。
舟木:吉永さんでも、やっぱりやせたいと思うんですか?
吉永:それは。いわなくても(笑)
本誌:舟木さんは、夏ごろ倒れましたね。やはり疲労が重なって?
舟木:殿様になれなくて。
吉永:・・・?
舟木:家老(過労)だったんです(笑)倒れるほど仕事に打ち込んだわけじゃないんですけどね。
●共演の日を夢みて
本誌:いよいよ新しい年を迎えるわけですが、新年の抱負やら、プライベートな面で、ことしこそ、というようなことを披露してください。
舟木:ぼくは、やはりいろんな歌を歌っていきたいということですね、月並みですが。それに、もうおとなになって、一年以上たったわけだから、いろんな面でおとなにならなければと思っています。
吉永:恋人も見つけなければね。
舟木:ええ、一九六六年は、ぜひ恋人をみつけようと思っているんです。ただね、ぼくの場合は歌が恋人だから、その点で、すてきな恋人をみつけるという意味も含めてですよ。
吉永:どちらでもいいわ。そのときはぜひ紹介してくださいね。
舟木:吉永さんは、大学生活も順調のようですね。週にどのくらい行けますか?
吉永:週に何日というのではなく、映画にはいっているときは、行けない日が多く、映画のないときは、毎日出るようにしているんです。
本誌:週刊誌で拝見しましたけど、マージャン屋などにもぐりこむことがあるんですか?
吉永:いやあ、あれは撮影のためで、もぐりこむところはラーメン屋とか喫茶店です。学校の友だちと喫茶店でダベルのはほんとに楽しいですよ。
舟木:ほんとに努力家ですね、吉永さんって。映画、歌、学生と、みんな優秀なんだから。ぼくもおおいに見習います。
吉永:学校の方は、とうぜんがんばっていきますけど、こんどの三月に東京でリサイタルをひらくんですよ。それが、新年の第一の抱負。それと日舞をやってみたいの。
舟木:吉永さんは野球が好きでしょ。ぼくのところに野球チームがあるから、ぜひいっしょにやりましょうよ。
吉永:ええ、お互いに健康には気をつけてね。
舟木:いますぐには共演することができないけど、その日を夢みています。
おふたりとも2位に圧倒的な差をつけて「ベスト・ワン」
舟木さんの現在の活躍も素晴らしいですが、小百合さんもコンスタントにご自身の納得のいく映画だけに出演なさっています。一昨年公開の「母と暮らせば」に続く最新作は2018年公開予定の「北の桜守」だそうです。なんと120本目の映画となります。デビューは1957年、ラジオドラマ「赤銅鈴之助」。60年の女優としてのキャリアで、今も変わらない若々しさ、初々しさ、そして一途な逞しさが素敵です。
吉永小百合、120本目の「北の桜守」クランクイン
吉永小百合の120本目の出演映画となる「北の桜守」が16日、北海道網走市でクランクインした。ひと組の母子の人生を通じて、日本が歩んできた戦後を総括しようという物語。吉永が主演した「北の零年」(2005年、行定勲監督)、「北のカナリアたち」(12年、阪本順治監督)に続く“北の3部作”の最終章になる。吉永とは初コンビとなる「おくりびと」の滝田洋二郎がメガホンを取る。
今回吉永が演じる江蓮てつは、北の大地で過酷な半生を過ごしてきた女性だ。1945年、てつは樺太でソ連軍の侵攻に遭い、2人の幼い息子を連れて北海道へ逃げる。時代は下り、71年。てつの次男の修二郎が米国から帰国して網走を訪ねる。ホットドッグチェーンの日本法人社長となっていた修二郎は、網走でつましい生活をする年老いた母親の姿を見る……。修二郎を堺雅人が演じる。
吉永は冬の北海道での撮影について「かなり厳しいロケになるでしょう。踏み堪えて、強い母を演じ、春を待ちます」、滝田監督は「119作もの映画を背負ってこられた吉永さんのオーラとしっかりと向き合いたい」とコメントしている。
公開は来年春の予定。(編集委員・石飛徳樹)
「美しい十代」の対談にもあるように、おふたりの共演は、どちらもそれぞれのレコード会社の大看板であり、おふたりが揃うという物理的・時間的な調整もままならなかったから、実現はできなかったのですが、今も、大好きなおふたりの共演を夢みている私です。
この雑誌の裏表紙はおなじみビクラの宣伝で、ここでも舟木さんの人気度が推し量れますね。