「舟木一夫自作曲によせて」のタイトルで「その9」をアップしたのが、今年の1月10日でしたから、7ヶ月ぶりということになります。ちょっと間抜けですみませんが…
舟友さんの「沢田舟木」さんが、アップされたばかりの「都会(まち)の子守唄」ご紹介。
おそらく、ほとんどの舟木さんファンにはおなじみの曲であるとは思いますが、以前から私自身も、気になっていた曲ですので、こうしてご紹介できる機会を得ることができて嬉しく思います。あらためて、じっくり聴く機会が持てたことに感謝を込めつつ、ご紹介させていただきます。
都会(まち)の子守唄 作詞・作曲:上田成幸
(1982年 アルバム「WHITE」収録)
この都会に負けちゃった
変にさびしいね
世の中は 水ぐるま
なみだを集めて クル・クル……
変にさびしいね
世の中は 水ぐるま
なみだを集めて クル・クル……
クルクル幸せ 不幸せ
とにかく明日が クル・クル……クル
とにかく明日が クル・クル……クル
クル・クルル・クル くるしいね
ひとりぼっちはさ
望みさえも 通り雨
気づいた時には カラ・カラ……
けとばす昨日も カラ・カラ……カラ
望みさえも 通り雨
気づいた時には カラ・カラ……
けとばす昨日も カラ・カラ……カラ
カラ・カララ・カラ からっ風
先を急がずに
なつかしい 子守唄
唄っておくれよ ホロ・ホロ……
ホロ・ホロ 青春 大さわぎ
あいつも何処かで ホロ・ホロ……ホロ
先を急がずに
なつかしい 子守唄
唄っておくれよ ホロ・ホロ……
ホロ・ホロ 青春 大さわぎ
あいつも何処かで ホロ・ホロ……ホロ
ホロ・ホロロ・ホロ ほろ酔いに
深酒(さけ)も いいかげん
きずなも人も チロ・チロ……
チロ・チロ 流れて 茨橋
くぐれば枯葉が クル・クル……クル
深酒(さけ)も いいかげん
きずなも人も チロ・チロ……
チロ・チロ 流れて 茨橋
くぐれば枯葉が クル・クル……クル
クル・クル幸せ 不幸せ
とにかく明日が クル・クル……クル
とにかく明日が クル・クル……クル
私が「都会の子守唄」をナマでお聴きしたのは2013年6月29日です。新橋演舞場で開催された「芸能生活五十周年記念ファイナル特別公演」の千穐楽のコンサート、夜の部の「WHITE特集」でした。
また、直近で歌われたのは、私は参加は、してないのですが、2014年12月4日(大阪)と12日(東京)に開催されたバースデー・ディナーショーだったようです。
もちろん「WHITE」のCD音源は、ステージで聴く以前から聴いていたはずなのですが、ナマのステージで初めて聴いたときには、あらためて、作品そのものが新鮮であることこと、同時に舟木さん以外の歌い手には、表現できない(創れない&唄えない)世界観の曲じゃないかなァと不思議な感覚の中に漂ったことを覚えています。
タイトル通り「都会的」なけだるさとか、乾いた淋しさは、クールでカメラワークのロングショットという客観性というか理知を感じさせる印象があって「WHITE」の中でも、異色のイメージがあります。
舟木さんの魅力は、ひとくちでは表せないのですが、この曲から感じるのは淋しさや哀しさに溺れない理性ある抒情性とでも言えばいいのでしょうか。哀感や哀愁というよりも、やはり舟木さんが醸し出す特有の無常観に裏打ちされた作品のように感じています。
「クルクル」「カラカラ」「ホロホロ」「チロチロ」…と擬声語(オノマトペ)を織り込んだ詩は、一見すると言葉遊びのような軽さがあるのですが、ラストには、再び「クルクル」に戻り、「クル・クル……クル」…と尾を引くように余韻を残します。ここで私は、「輪廻」という言葉を思い出すのです。
「輪廻」とは車輪がぐるぐると回転しつづけていく様を表した言葉で、この詩が表現しているのは人が生まれて死ぬまで旅を続けていく現実世界を、いかにも舟木さんらしい言葉を駆使して、まるで芸術詩のような高みまで昇華させたような、精神性が感じられます。
こちらは1980年のコンサートパンフ ↓
「WHITE」収録の曲は、舟木さんご自身の作品ですし、どの作品にも上田成幸(=舟木一夫)という人間そのもの(=人生哲学)が投影されているという印象を受けますから、舟木さんファンにとっては、作品を通して舟木一夫という人を知るための手がかりになるという視点も含めて今も根強い支持を得ているアルバムと言ってもいいでしょう。そういう意味でも「都会の子守唄」は、私としては、とても心惹かれる作品です。
「都会の子守唄」は、1979年7月のライブでは、既に歌われているようですから、作られたのは三十代の前半でしょう。いつも思うのですが、舟木さんの精神性の成熟度の高さに感服してしまいます。
自分ごときを引き合いに出すのも僭越で申し訳ないのですが、私も三十路に入った頃からちょっとずつは物を考えるようになりましたが、これだけの密度の濃い詩を、しかもストレートではなくライトなタッチでまとめ上げることのできた舟木さんの三十代って、やっぱりそれまで送ってこられた青春時代がもたらしたある種の見事な結実の時だったように思います。三十代にして「悟りの境地」という感!
こちらも、舟友さんが8月8日放送のラジオ番組をyoutubeにアップしてくださったものです。感謝を込めて、ご紹介させていただきます。
「CBC歌謡ベストテン/舟木さんのコメント&春はまた君を彩る」
https://youtu.be/oWHtPl_EhYE
https://youtu.be/oWHtPl_EhYE