犬の亀次郎クンの散歩をしていると、あちこちでバラに出逢う季節になりました。
各地のバラ園もそろそろ花盛りになってきているようです。
コロシート 舟木一夫/歌のプリンス(1968年8月発行)
先日アップした「コロシート 舟木一夫/歌のプリンス」よりの記事、連載のその2です。
このコロシートは、8月に発売されています。舟木さんのデビューは6月5日ですから、この冊子が編集されていた頃が、ちょうどデビュー記念日を過ぎたあたりだったのでしょうか。冊子の冒頭を飾っている文章をご紹介します。5周年を迎えての意気込みが、舟木さんらしい正直で誠実な言葉で綴られていて、とっても爽やかで、ここちよい文面です。
歌手生活五周年を迎えて!! あらたなる意欲をもって
前向きの姿勢でのぞみたい 舟木一夫
一九六八年は、梅田コマ・スタジアムのステージからスタートをきりました。
いままでは、お正月休みを、たいがい一週間ぐらいいただいて、あるいは雪国で、あるいは南の島ハワイでと、その年その年によってしかけこそちがってはおりましたが、ただのんびりとすごしてきました。
”せめてお正月ぐらい”というボクのわがままを、さいわいにして、まわりの方がきいてくださったからです。
しかし、今年は、そんなわがままは言っていられない年です。そうです。この六月五日で、歌手生活五周年をむかえるのですから。
いままでは、お正月休みを、たいがい一週間ぐらいいただいて、あるいは雪国で、あるいは南の島ハワイでと、その年その年によってしかけこそちがってはおりましたが、ただのんびりとすごしてきました。
”せめてお正月ぐらい”というボクのわがままを、さいわいにして、まわりの方がきいてくださったからです。
しかし、今年は、そんなわがままは言っていられない年です。そうです。この六月五日で、歌手生活五周年をむかえるのですから。
とにかく五年間のあいだ支持してきてくださったボクのファンの皆さまにも、なんらかの形で、おこたえしなければならない、というのが本心です。
それでは、五周年に、なにをするか?となると、さあ大変です。あれもやりたい、これもやりたいと、舟木一夫が何人いても足りないほど、たくさんの夢があります。われながら欲が深いなァ、とつくづく思いますが、こういう欲は、無いよりもあったほうがいいんじゃないかな。
それらの夢を総合してみますと、だいたいの基本線はこうなります。
それでは、五周年に、なにをするか?となると、さあ大変です。あれもやりたい、これもやりたいと、舟木一夫が何人いても足りないほど、たくさんの夢があります。われながら欲が深いなァ、とつくづく思いますが、こういう欲は、無いよりもあったほうがいいんじゃないかな。
それらの夢を総合してみますと、だいたいの基本線はこうなります。
五周年だからといって、ただ単に五年間をふりかえりなつかしがっていてはいけないということ。まだまだ五年ぐらいで、過去をなつかしむようなことでは、これから先が思いやられます。うしろは振りむかず、前向きな姿勢で突っ走ろうと考えています。
その意味で、今年は一歩でもいい、”オトナっぽい歌手”に近づきたいと思います。かねがね念願にしていた”ブルース”をうたえる歌手になるためにも………。
オトナの歌手になることによって、人気の面でブレーキがかかるという人もいますが、本当に歌を愛し、歌をきいてくださるファンが一人でもいる限り、ボクはうたいつづけます。時流におもねって、節操のない八方美人歌手として生きるよりも、ボクは大好きな歌謡曲をうたっていくほうが、自分自身に正直な生き方だと思うのです。きっとこの気持ちはボクのファンの皆さんならわかってくださると信じています。
オトナの歌手になることによって、人気の面でブレーキがかかるという人もいますが、本当に歌を愛し、歌をきいてくださるファンが一人でもいる限り、ボクはうたいつづけます。時流におもねって、節操のない八方美人歌手として生きるよりも、ボクは大好きな歌謡曲をうたっていくほうが、自分自身に正直な生き方だと思うのです。きっとこの気持ちはボクのファンの皆さんならわかってくださると信じています。
なんだか、ごたいそうなことを申しあげてしまいましたが、五周年を迎えるボクが、どうしてもやらなければならない仕事の心がまえを、ファンの皆さんの前で公表することによって、ボク自身の心のいましめとしたかったからです……。
とにかく全力投球です。十周年、十五周年に向かって!
今、それなりに人生経験を重ねてきた私が、あくまで、「今の時点で」この文章を読むと、歌い手として、きびしい芸能界で幸運なスタートをきった舟木さんの、「あれもやりたい、これもやりたい…」という率直で若者らしい夢と希望に満ちた言葉にほほえましさを感じますが、一方で、その類まれなる超幸運な境遇におかれても決して舞い上がっていない「プロの歌い手」としての地道で謙虚な心の在り様が、それ以上に感じられます。
自分自身が、歌い手になりたいと思った原点を見失っていないことに本当に驚かされます。来年55周年目に入る舟木さん、そして、この文章を綴った5周年を迎えた時の舟木さん。本質的に、寸分の狂いもなく今もなお、ブレていないことが、よくわかります。
~かねがね念願にしていた”ブルース”をうたえる歌手になるためにも………。
オトナの歌手になることによって、人気の面でブレーキがかかるという人もいますが、本当に歌を愛し、歌をきいてくださるファンが一人でもいる限り、ボクはうたいつづけます。時流におもねって、節操のない八方美人歌手として生きるよりも、ボクは大好きな歌謡曲をうたっていくほうが、自分自身に正直な生き方だと思うのです。~
オトナの歌手になることによって、人気の面でブレーキがかかるという人もいますが、本当に歌を愛し、歌をきいてくださるファンが一人でもいる限り、ボクはうたいつづけます。時流におもねって、節操のない八方美人歌手として生きるよりも、ボクは大好きな歌謡曲をうたっていくほうが、自分自身に正直な生き方だと思うのです。~
先日のメルパルク大阪での「ラブコン」のトークの時に、舟木さんが、こんな風に、ポツンとおっしゃった言葉がとても印象的でした。
~来年は55周年、何十年経ったらちゃんと歌を聴いてもらえるのか…。~
ステージで歌っている最中にカメラで撮影したり、ペンライトをかざしたり…というお話の中で、ほんとにポツンと漏らしたような感じでしたが、今でも、舟木さんは、人気歌手になったばかりの若い頃と同じ気持ちでいらっしゃるんだなァと、あらためて思いました。
デビュー3周年記念のアルバム『ひたむきな青春』より
~司会者に紹介されて舟木一夫があらわれる。ドッと湧く客席。うたいはじめる舟木一夫・・・よくある風景である。ちょっとだけちがうこと、彼のばあい、ドッときた客席がなかなかしずまりかえらない。熱狂的なファンは歌をきかずに姿をきいているという感じ。とたん、彼の顔にチラッと不満げな表情がはしる。――ぼくは歌手です。歌をきいてはくれないんですか。(日本コロムビア邦楽部・企画室)~
当時はファンも若かったから、ステキな舟木さんにテンションアップして、キャーキャー!と歓声をあげてたのでしょうね。ちゃんと歌を聴いてくれない…と舟木さんが不満気な表情だったという記事。55年という半世紀以上にもなるキャリアを積んだ今も、舟木さんは、「ちゃんと歌を聴いてもらいたい…」という強い想いを持ち続けているんだなァ…と私としてはその「心底、純粋な歌い手としての想い」に心打たれます。