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訃報 英太郎さん81歳=新派の女形
英太郎さん=共同
劇団新派の女形として知られた俳優の英太郎(はなぶさ・たろう、本名大久保秋久=おおくぼ・あきひさ)さんが11日午後11時ごろ、虚血性心不全のため東京都内の自宅で死去した。81歳。新潟県出身。葬儀・告別式は20日午前10時から東京都品川区西五反田5の32の20の桐ケ谷斎場で。喪主は妹の大久保サチ子(おおくぼ・さちこ)さん。後日、お別れ会を開く。
かつては女形中心だった新派の流れを受け継ぎ、現在は女優中心となった劇団で長年唯一の女形として活躍。人物の心情を巧みに表現し、脇役ではコミカルな味わいも出す幅広い演技力で、女形芸の存続に尽力した。(共同)
急な報道に驚きました。まだ9月の新派特別公演では、お元気で舞台をつとめていらしたので、まさかこんなに早いお別れがくるとは思っていませんでした。
新派唯一の女方というだけでなく、新派の歴史を背負ってこられ、今では、最古参の俳優さんですから、劇団の皆さまのお悲しみと悔しさの深さはどれほどかと思われます。
先日、このブログでもご紹介させていただきましたが、歌舞伎界からお二人の若い世代の俳優さんが新派に正式入団されることになり、新しい新派の時代の幕開けのような気がしていましたが、英太郎さんのような方のご指導やお力添えで、若い世代の俳優さんたちが育っていくと期待していましたから、本当に、本当に残念でたまりません。でも、見事な俳優人生を送られた英さんに心からの称賛と、御礼とを送ってお別れしたいと思います。長い間、本当に、お疲れ様でした。心よりご冥福をお祈りいたします。合掌
まだ、記憶に新しい昨年の演舞場公演で舟木さん演ずる勝小吉の乳母お熊役の英さん
軽妙で温かなお二人のやりとりが思い出されます。
1998年(演舞場)「おやじの背中」では、成幸少年のお祖母ちゃん(父・栄吉の母)役
あらためて、今、聴くと心に沁みて涙があふれます
英もよう 作詩・作曲:舟木一夫
白いうなじに ふたすじみすじ
映える黒髪 濡れる指
ひびく柝(き)の音にいのちをのせて
廻る舞台に 咲かせる華は
意地も哀しい 女形
役者ぐらしを ふとふりむけば
眉もはかない 柳腰
好きで重ねた苦労のかげに
散ったつぼみの 夢抱きしめて
かざす 新派の舞扇
眉もはかない 柳腰
好きで重ねた苦労のかげに
散ったつぼみの 夢抱きしめて
かざす 新派の舞扇
泣いておどけて 芝居がはねて
流す白粉(おしろい) にじむ紅
足袋の小鉤(こはぜ)に涙を留めて
薄い灯りの楽屋を出れば
湯島見るよな おぼろ月
流す白粉(おしろい) にじむ紅
足袋の小鉤(こはぜ)に涙を留めて
薄い灯りの楽屋を出れば
湯島見るよな おぼろ月
昨年の11月3日の「-風アダルトに」の会場のフロアでお写真を撮らせていただきました。
優しい笑顔が素敵な英さんでした。