もう、新歌舞伎座の千秋楽から5日も経ってしまったんですね。本当に、2013年の師走は、文字通り舟木さんを追っ掛けて走り続けの一ヶ月だったようです。舟木さんはご自身は勿論ですが、舟友の皆さまもお疲れさまでした。
さて、やっと千秋楽公演のご報告をさせていただくのですが、何だかもう忙しすぎて霞の彼方に・・・(笑)
多くの舟友の皆さんが既に、それぞれのブログで詳しく、また楽しいご報告を届けて下さっていると思いますので、ここでは、私の覚書メモ程度になりますが、簡単にご報告をさせていただきます。
多くの舟友の皆さんが既に、それぞれのブログで詳しく、また楽しいご報告を届けて下さっていると思いますので、ここでは、私の覚書メモ程度になりますが、簡単にご報告をさせていただきます。
第一部 いろは長屋の用心棒
恒例の千秋楽の「お遊びたっぷりのお芝居」は、舟木座長の独壇場です(笑)、まあ、いたずらっ子のように、共演者、おひとりおひとりに、「公平に」あの手この手の仕掛けをする舟木さんが可愛いったらありません。その「お遊び」にお付き合いくださる、共演の俳優さんたちも、既に舞台上で「打ち上げ」気分でノリノリでいらっしゃるのを拝見していると、この座組のチームワークの良さをあらためて感じました。
では、舟木信兵衛さんの「いたずらメモ」から抜粋して・・・
いつもは、居酒屋「丸源」の衝立の向こうから箸立てが飛んできてから、信兵衛さんが、握りこぶしを突き出して、蟹さんのハサミのようにチョキに変えてから登場するのですが、その箸立てが、ひとつではなく、三つも飛んできました(笑)高利貸の三河屋に雇われた借金取り立てのならず者の鮫吉役の原口さん始め、子分たちも「いったい、いくつ飛んでくるの?」という表情(笑)
しかも衝立の後ろから登場した信兵衛さんは、顔に墨塗りしたように黒いシールを貼ってます。いつもなら、ラストの場面で墨塗りされるのに、もう最初っからこの有様・・
そして、姉上役の葉山さんが初めて舞台下手から「信兵衛、信兵衛はいずこに?」と登場するときに下手までチョコチョコ走りで走って行って「書き割り塀」の陰に隠れて、シールを付けたままの顔を出す・・
ヨミアサ瓦版屋の桜木さんが犬に吠えられて逃げてきた体(てい)で舞台に登場する場面では、下手から四つん這いになってワンワン吠えながら信兵衛さんが登場しました(笑)
さらに、桜木さんの芸歴を暴きつつ「あっ、オレより長いことやってるんだ・・先輩、どうも」と急に低姿勢に
なる信兵衛さん
なる信兵衛さん
場面は変わって、いろは長屋。下手から登場する信兵衛さんですが、いつも携帯している扇子~これは張り扇で三河屋の手下の鮫吉の原口さんが一番の標的です(笑)でも、時々信兵衛さん自身も張られてます(笑)~が、ボロボロに破れてました。細かな小道具にも仕掛けをなさるんですね。そして、セリフを喋りかけてから「あ、いけねぇ、飴出すの忘れてた・・」と口から飴玉を出してもうひと押しする舟木さん(笑)
またまた、姉上の葉山さんに仕掛け…「ヨメ取りを」しつこく迫る姉上が苦手の信兵衛さん、葉山さんの声を聞きつけて逃げるはずの場面なのに「姉上に会うのは久しぶりだからなぁ・・」と座布団を用意して、葉山さんの登場を待つ信兵衛さん(笑)・・台本では、もうそこにいないはずの信兵衛が座布団出して拍手で迎えてるのを見た時の葉山さんのお顔がなんとも「どうお芝居したらいいの?」という感じで絶妙(笑)
その葉山さんに座布団を勧めつつ、やおら、お二人のお付き合いのなれそめを、思い出話のように話し始める信兵衛さん。~昭和41年に初めて新歌舞伎座で共演した時からのお付き合い…あの時拙者は○○才、姉上は二つ上…「喜びも悲しみも幾歳月」で子役をした時は何歳でしたかな?・・葉山さんはとても素直ないい方ですから「七つです」と・・桜木さんも先輩、葉山さんはさらに先輩と、またしてもうやうやしく葉山さんに、頭を下げる舟木さん。葉山さんのお年がバレてしまいましたよ。
舟木さん、これは「張り扇もの」です!葉山さんに「張り扇」を渡してあげたくなりました(笑)
それにしても葉山さんは若くて綺麗すぎですね。ビックリしました。舟木さんより二才くらいは年下かと思ってました。結果としては、葉山さんが、どれほどお若くてお綺麗かということの証明になったわけですね。
それにしても葉山さんは若くて綺麗すぎですね。ビックリしました。舟木さんより二才くらいは年下かと思ってました。結果としては、葉山さんが、どれほどお若くてお綺麗かということの証明になったわけですね。
そして、信兵衛さんは、またしても例のシールを顔のあちこちに貼っては、はがして位置を変えるけど段々粘着力がなくなって落ちてしまいます・・そのうちに、「あんまり面白くないからコレやめよう」…と最後はシ
ール貼りは断念する舟木さんでした(笑)
ール貼りは断念する舟木さんでした(笑)
折笠道場の場面では、師範代の榎本さんとの手合わせをなかなかやめず、いつまでも続けるのでバテる榎本さんに「もっと足腰鍛えなきゃ駄目だよ!」といたずらっ子のような目で、カツを入れる信兵衛さん。榎本さん、お疲れ様でした(笑)
三河屋のなべさんが登場して、お客さんを「花」に見立て、この「花」もみんな、あの浪人が歌を聴かせて、育み、そだてた・・・などなど、台本とは、あまり関係ないアドリブで出番を引っ張ってるところに、舞台下手から、フツーに出てきて、なべさんの前を通り過ぎながら「長いぞ!」とひとこと云って、す~ッと上手袖に引っ込む信兵衛さん
「厠侍の」謙之輔役の丹羽さんが幕の降りた舞台を下手から上手へセリフを言いながら歩いている、後ろからなぜか無言で、信兵衛さんが雪駄でなく、楽屋スリッパみたいなのを履いたまま出てきて、丹羽さんの後ろからトコトコとついて引っ込む・・ただそれだけのことなんですけど、この手のナンセンスな笑いがわたしには一番のツボです
終盤の婚礼の宴の場面では「高砂や」をこともあろうに「絶唱」のメロディで歌う信兵衛さん…白無垢の綾香さんを見て小雪とのあの悲しくも感動的な「葬婚」の場面を思い出したんでしょうか・・それにしても、ここで、私にとっての聖域である「絶唱」をかぶせるなんて、本当になんてことするんでしょうね。これも「張り扇もの」です!(笑)
私の好きな場面、へべれけに酔いつぶれ倒れ込むところでは、うつろな目で「きたぁ~ッ!・・南、西・・東」(笑)
最後に顔に墨塗りされる場面は、千秋楽だからでしょうかおめでたい「朱墨」まで入って二色刷になった舟木さんのお顔です。「なんだか顔がむずかゆい、へ~ぇくしょん!!」(笑)
共演の俳優さんたちもそれぞれに、千秋楽バージョンのセリフなどの趣向で大いにはじけて、笑わせてくださいました。あぁ、楽しかったぁ!
第二部 千秋楽 コンサート
千秋楽のコンサートもお芝居と同じように、特別バージョンで、それまでとは全く異なったセットリストです。
持ち歌でも、通常はあまり聴けない曲や、持ち歌以外の曲がほとんどですから、とにかく全身を耳にして・・という感じでした(笑)舟木さんの歌声や、歌詩を聴きとるのでエネルギーを使い果たして余韻にひたり、トークの時にはいささか脱力してましたから、ぼんやりした部分も多いのですが、印象に残ったところだけを御紹介します。
持ち歌でも、通常はあまり聴けない曲や、持ち歌以外の曲がほとんどですから、とにかく全身を耳にして・・という感じでした(笑)舟木さんの歌声や、歌詩を聴きとるのでエネルギーを使い果たして余韻にひたり、トークの時にはいささか脱力してましたから、ぼんやりした部分も多いのですが、印象に残ったところだけを御紹介します。
千秋楽のコンサートは、ステージ中のプレゼントタイムは設けていなくて、開演前に舟木さんが幕前に私服で登場して、一気にプレゼントを受け取っていきます。この日は、黒の丈の長めのシャツに同系色の綿(?)のパンツに黒のシューズ、胸にはペンダントというスタイル。
10分ほどかけてすべてのプレゼントを受け取る舟木さんですが、やはり身体をかがめて受け取るので腰に負担がかかっていらっしゃるようです、時々腰をトントンと叩いたり、伸ばしたりしていらっしゃいます。見ている分には、どちらかというと一気に受け取る方が負担がかかるように感じます。歌いながら受け取るのも大変ですが、同じ姿勢を続けるのではなく、プレゼントを受け取るのと歌うのを一定のリズムと間隔で交互にする方が、むしろ腰には負担がかからないのでは・・・と思います。
これからは、試行錯誤で、プレゼントの受け取り方は舟木さんに肉体的な負担があまりかからない方法を考えていただくといいのかなと、千秋楽だけは感じました。
これからは、試行錯誤で、プレゼントの受け取り方は舟木さんに肉体的な負担があまりかからない方法を考えていただくといいのかなと、千秋楽だけは感じました。
ちなみに、以下は、25日の新橋演舞場のシアターコンサートのパンフレットで舟木さんが、大倉明さんのインタビューに答えていらっしゃるものです。
大倉:来年末は古希、70歳です。プレゼントタイムは今まで通りで大丈夫ですか(笑)
舟木:最近、ワンステージやると下半身に来ているなという感じもありますが、全然大丈夫。もっとも、この間DVD見てたら、やっぱり踏ん張ってるのね。~以下略~
さて、千秋楽の舟木さんのステージ衣装。藍色のスリーピースに白のシャツ、胸にはクリーム色のバラ、ゴールドのペンダント。
オープニング~
友よ
3日に初日を開けさせていただいて、おかげさまで、今日が千秋楽。今日は例によって歌詩カードを置いてやるんですが、この字の大きさが、アブナイ・・もう2、3年したらワンコーラスずつ分けなきゃならない(笑)
1970年代初め頃の舟木さん↓
遥かなる草原 1971年
明日に向かって走れ! 1973年
よみがえる夜明け 1972年
ステージのテーブルの上に置いてある、カップを手にしつつ・・いつもは、麦茶なんですが・・飴湯にしてみました・・と一口飲んでみて・・これは薄いぞ!もう少し濃くしてよ・・と舞台の下手へもっていく(笑)
今回のお芝居みたいなのはいいんですが、若いとき、明治座で「荒城の月」という滝廉太郎のお芝居をやりました・・胸の病になってだんだん悪くなって、最後は、はぁはぁ・・て感じで花道を人力車に乗って・・そうなると本当に身体の調子が悪くなってくる・・病は気から・・お芝居も気から(笑)
次は船村先生の世界を・・・と二曲
さいはての月
さいはての月は銀色
凍りつく夜の深さに
思い出がゆれて泣いてる
凍りつく夜の深さに
思い出がゆれて泣いてる
さいはての月は銀色
いつまでも待つと言ってた
あの人の ここはふるさと
・・・・・・・・・・・・・・・・
星の夜北へ帰る
作詩は関沢新一先生なんですが、ひょっとすると関沢先生は満州かどこかでお生まれになったのかな・・と北海道も広いですが、駒というのは馬のことで、「駒を止める」というのは馬に乗って旅をしている・・ということだから、もっとスケールの大きな風景じゃないかと・・・
~以下もよろしければ併せてご参照下さい~
http://blogs.yahoo.co.jp/ycmay26/68052714.html ←気になる曲があります/「星の夜北へ帰る」
~公開抽選会~
ここで新歌舞伎座から、5回分のチケットでスタンプを5個ためたら信兵衛さんのいろんなポーズの写真の「特製カレンダー」がもらえるのですが、そのカレンダーをもらった人の中からひとりだけ、信兵衛さんの特大パネル~もちろん舟木さんのサイン入り~が当たるという抽選会がありました。舟木さんが結構、ボックスの底の方から引き当てた方は、北海道の方だそうです。おめでとうございました!「星の夜北へ帰る」という曲の後だったから、なんだか暗示的でしたね。
~大阪の歌を・・・と~
大阪の女(ザ・ピーナッツ カバー 1970年)
宗右衛門町ブルース(平和勝次とダークホース カバー 1972年)
大阪しぐれ(都はるみ カバー 1980年)
~アルバム「どうしているかい」音源収録(1981年)~
浪花盃(五木ひろし カバー 1986年)
浪花恋しぐれ(岡千秋・都はるみ カバー 1983年)
このイントロが始まった途端・・あのセリフも聴けるの!?と期待感が膨らみましたが、ラッキー!きっちりセリフ入りでした。やったね!あの「高校三年生」のハイトーン・ボイスだった舟木さんが、こんなドスのきいたセリフがビシッとキマるような渋い声になるなんてねー(笑)
そりゃ わいはアホや 酒もあおるし 女も泣かす
せやかて それもこれも みんな芸のためや
今にみてみい! わいは日本一になったるんや
日本一やで わかってるやろ お浜
なんやそのしんき臭い顔は
酒や! 酒や! 酒買うてこい!
五つ目の季節に
あなたのこと 思い出しています
あの日知った 5つ目の季節の真ん中で
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あの日知った 5つ目の季節の真ん中で
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
別れの訳を 本当のことを
教えてほしい
教えてほしい
ピエロの晩秋(あき)
うすい夕暮れの街の灯りは
とりとめもなく窓にばらけて どこか人待ち顔
待てば もどる人 待ちわび
あれから 私 笑えないピエロ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とりとめもなく窓にばらけて どこか人待ち顔
待てば もどる人 待ちわび
あれから 私 笑えないピエロ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
うらまずに生きてください
気にせずに生きてください
気にせずに生きてください
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
幸せになってください
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ひとりできるのは 祈ること 願うことだけ
ひとりできるのは 祈ること 願うことだけ
「浪花恋しぐれ」で上方の落語家の象徴とも云うべき初代桂春団治の世界を歌ったあとに、こんな曲を置くのが、これまたニクイ演出です。舟木さんのレパートリーの広さというか、「万華鏡」の魅力を見せつけます。御自作の上記の2曲は1980年代の作品のようです。私は音源では聴いてはいて、その詩がとても印象に残っていましたが、今回、初めてナマで聴くことができて本当に感激でした。なかなか通常のコンサートではめぐり逢えない曲ですから、超ラッキー!
七年くらい前に演舞場で「鶴八鶴次郎」を演ったあと、疲れがひどくてもう最後かな・・と思った。その後また少したって初めてやった時はしんどかったけど、今は大丈夫です!この分だとあと20年くらいは・・客席から大きな拍手・・・○○才・・んなワケないだろ!(笑)
よく家族とファンとどっちが大切か・・なんてことをいわれますが・・そんなのね・・同じに並べられるものではない・・舟木一夫としてステージで歌っている以上は・・・
そのあとの言葉は、はっきりとは聞こえなかったのですが、「秘すれば花」でしょう。そんな野暮なことを訊ねる人が今でもいるんでしょうか(笑)舟木さんがやおらこんなことをおっしゃったこういった次元のことは、今さら確認するまでもないでしょう。私が舟木さんのトークの一番好きなところ、人間性を感じるところは、すべてを語らないところです。聴き手が、それぞれに想像力をふくらませる余白を持たせる、あのお喋りこそが「舟木一夫」そのもの「秘すれば花」の魅力なのです。
そして最後の二曲は、初演の「野口雨情ものがたり」(新橋演舞場1997年八月公演)で、歌われた曲2曲。
~以下もよろしければ併せてご参照下さい~
↑今の私のお気に入り・その2 第二夜「最後の恋」
風、好きに吹け~迷夢本望
アンコール~
大阪ラプソディー
大阪ラプソディー
曲の途中、舞台の両袖からお芝居の共演者の皆さんが登場、全員で御祝儀の手ぬぐい撒き。なんと三階席まで届いた手ぬぐいもありました。この千秋楽の前日の前楽・夜の部の終演後に、舟友の皆さんとご一緒した「カラオケ・オフ会」でも歌った「大阪ラプソディー」が最後にとびだして、大阪ならではの明るさに満ちた長期公演の幕となりました。大盛況だった新歌舞伎座公演、舟木さん、本当にお疲れ様でした、そして、大成功おめでとうございました