9月に入ります。一年の三分の二が過ぎて、今年もあと4ヶ月を残すのみ。早いですね~
暦の上では、とっくに秋のはずですが、日中はまだまだ残暑厳しい毎日が続いています。
でも、夜になると、さすがにちょっとだけ気持ちのいい風も吹いて、虫の聲も聞こえてきます。
そして、この季節になると、藤村の詩を舟木さんの歌唱で聴きたくなります。
でも、夜になると、さすがにちょっとだけ気持ちのいい風も吹いて、虫の聲も聞こえてきます。
そして、この季節になると、藤村の詩を舟木さんの歌唱で聴きたくなります。
作詩:島崎藤村 作曲:竹岡信幸 (1977年 15周年記念アルバム「限りない青春の季節」収録・未発表曲)
君がこゝろは蟋蟀(こおろぎ)の
風にさそはれ鳴くごとく
朝影清き花草に
惜しき涙を そゝぐらむ
それかきならす玉琴の
一つの糸のさはりさへ
君がこゝろにかぎりなき
しらべとこそは きこゆめれ
あゝなどかくは触れやすき
君が優しき心もて
かくばかりなる吾こひに
触れたまはぬぞ 恨みたる
風にさそはれ鳴くごとく
朝影清き花草に
惜しき涙を そゝぐらむ
それかきならす玉琴の
一つの糸のさはりさへ
君がこゝろにかぎりなき
しらべとこそは きこゆめれ
あゝなどかくは触れやすき
君が優しき心もて
かくばかりなる吾こひに
触れたまはぬぞ 恨みたる
(参考)
島崎藤村~8月22日は藤村忌 舟木さんのナレーションでたどる藤村の生涯 その1
https://blogs.yahoo.co.jp/ycmay26/68488410.html
https://blogs.yahoo.co.jp/ycmay26/68488410.html
その1で紹介されている「佐藤輔子への恋」と「北村透谷の死」などについても触れている、藤村の自伝的小説に「春」があります。(1908年4月7日から8月19日まで「東京朝日新聞」に連載)
「春」のあらすじ (岸本捨吉は藤村自身、先輩・青木は北村透谷、勝子は佐藤輔子と言われています。)
教え子である勝子を愛したために職を捨てて旅に出た岸本捨吉だったが、同人雑誌の創刊の話を聞き、戻ってくる。だが、捨吉やその同人たちを待っていたのは、俗世からの打破と自由を求めようとする、苦闘や葛藤、そして挫折であった。そしてそんな中、捨吉が心から尊敬していた先輩である青木が自殺し、衝撃を受ける。
一方勝子は結婚していってしまったが、まもなく死んでしまう。捨吉は葛藤の末に作家として生きることを決意し、一切を捨てて東北の学校へ赴任する。
一方勝子は結婚していってしまったが、まもなく死んでしまう。捨吉は葛藤の末に作家として生きることを決意し、一切を捨てて東北の学校へ赴任する。
もう一曲は、言うまでもなく「初恋」
島崎藤村~8月22日は藤村忌 舟木さんのナレーションでたどる藤村の生涯 その2
https://blogs.yahoo.co.jp/ycmay26/68488807.html
https://blogs.yahoo.co.jp/ycmay26/68488807.html
初恋 作曲:若松甲 (舟木さんの歌唱は三番まで)
https://youtu.be/7Ro6-WNj3mY
https://youtu.be/7Ro6-WNj3mY
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
竹久夢二の作品2点
夢二は、藤村の詩「初恋」にインスパイアされてそれをモチーフに絵を描いています。
夢二は、島崎藤村、谷崎潤一郎、小川未明、与謝野晶子、吉屋信子、北原白秋、西條八十ら、時代を代表する作家や詩人の本や楽譜の装幀、挿絵などを手掛けました。
左はちょっと暗いイメージの「初恋」ですね。舟木さんの歌の清新なイメージとは少し趣きが違うようです。画面の奥で顔を覆っているのが恋の相手の男性ですね。どうやら「悩み多き初恋」のようです。これではなにか切ないのでもう少し明るい絵を・・・
右、こちらの絵は直接「初恋」との関係が説明されてはいないのですが「りんご」という絵です。これのほうが舟木さんの歌う「初恋」のイメージに近いですね。
そして、最後は…舟木さんご自身の「初恋」について語っていらっしゃる資料をご紹介します。
一宮での55thコンサートに合わせて…とタイムリーに資料をご提供くださいました。いつもながらのステキなご配慮、御厚意に心からの感謝です。記事になった当時は、本当に「ショック・ニュース」だったことでしょうね。今なら、ほのかな舟木さんの初恋が微笑ましくて「ムフフフ…」なんですが
*註(春日局):締めくくりに「折口信夫のこんな詩が…」とありますが、念のために調べてみましたら、これは、正しくは佐藤春夫によるものかと…佐藤春夫が、漢詩「賦秋草」からイメージさせて「殉情詩集」として五七調で表した詩ではないかと思われます。
賦秋草(做佐藤春夫殉情詩集)
さまよい来れば秋草の 一つのこりて咲きにけり
おもかげ見えてなつかしく 手おればくるし花ちりぬ
さまよい来れば秋草の 一つのこりて咲きにけり
おもかげ見えてなつかしく 手おればくるし花ちりぬ
哀草孤杖挽,一紅無限情。
佳人何処問,空把落花茎。
佳人何処問,空把落花茎。
明日、9月1日も、コンサートが開催されますね。
お運びの皆さん、楽しんできてくださ~い
9月1日(金) 相模女子大グリーンホール(神奈川県) 14時/18時