「青春歌謡BIG3 2014 コンサート」の構成の中には、BIG3のお三人、それぞれのコーナーが30分ずつほどあります。
舟木さんのコーナーが、ラストですが、一曲目に歌われるのが「君へ心こめて」です。
私の記憶では、「君へ心こめて」は、昨年の6月に開催された50周年記念ファイナルとなった新橋演舞場の特別公演の際の昼の部のアンコール曲として、歌われているのが、一番近々のコンサートでの歌唱だったと思います。
6月11日の、私のブログに、こう記していたので、以下にちょっと引っ張ってきてみました。
~舟木さんご自身と私たちの青春時代~
青春とは決して明るく楽しいばかりの時間ではなかったというほろ苦さ、躓きの疼き、そんなものを抱えながら、それぞれが歩んできた旅路への労(ねぎら)いと、思い遣りがあふれる詩を力強いメロディーにのせて届けてくれる舟木さんです。その舟木さんの熱い想いを、しっかり受け止めたいと思います。
「青春歌謡 BIG3 コンサート」には、コンサート会場にいる、ステージの人(舟木さん、西郷さん、三田さん)も、客席の人(私たち「青春歌謡」世代)、みんなで、タイムスリップして、それぞれの旅路を、いいことも、よくなかったことも、ひっくるめて愛おしく想い、ここまで来られたことだけで「よし」としようじゃないかというテーマが掲げられているように思います。
そういう気持ちに、とてもピッタリな「君へ心こめて」が、舟木さんコーナーのオープニングを飾っていると思いますので、「舟木一夫自作曲によせて」の、その4は、タイムリーな、この曲にしてみました。
木枯しの夜空を 肩にささえて
あてもない旅びと 俺も君も
若さゆえにすてた 花の二片(ふたひら)
愛の日々よ熱き友よ
振りむけば流星 北へ尾を引く
今さらにいたみは 君のなみだ
望むひとに夢に めぐり逢えたか
寒さ閉ざす 明日はあるか
今さらにいたみは 君のなみだ
望むひとに夢に めぐり逢えたか
寒さ閉ざす 明日はあるか
悲しみを悔みを 抱いて生きるな
何よりも君には それを願う
俺が心こめる 歌の一片(ひとひら)
春を告げろ 君に届け
何よりも君には それを願う
俺が心こめる 歌の一片(ひとひら)
春を告げろ 君に届け
俺が心こめる 歌の一片(ひとひら)
春を告げろ 君の空に
春を告げろ 君の空に
春を告げろ 君の空に
木枯しの夜空を 肩にささえて・・・なんてスケールが大きいのでしょう。こういった表現は舟木さんの男っぽさ、骨っぽさから生まれてくるのでしょう。
若さゆえにすてた 花の二片(ふたひら)・・・ささやかな幸せ、そういうものよりも、もっと遠くにある大きな夢や望みが、若い心を虜にしてしまう・・特に男性はそうなのかも知れません。今の時代の男子は、どうかな?(笑)でも、舟木さんの世代の男性は、そういう傾向があったかもしれませんね。
若さゆえにすてた 花の二片(ふたひら)・・・ささやかな幸せ、そういうものよりも、もっと遠くにある大きな夢や望みが、若い心を虜にしてしまう・・特に男性はそうなのかも知れません。今の時代の男子は、どうかな?(笑)でも、舟木さんの世代の男性は、そういう傾向があったかもしれませんね。
この曲のテーマは、「熱き友よ」というのだから「君」とは男同士の友を指しているのだとは思うのですが、親友と思われる「俺と君」との間にどんなドラマがあったのか、ラブソングなら、女性の立場でいろいろとイメージできるのですが、男同士の友情の世界となると、私にはちょっと読み解きづらいです(笑)
ともに青春時代を送った気の合う友・・・あるいは、恋のライバルでもあったかもしれないし、勉学やスポーツのライバルでもあったのかも・・「今さらにいたみは 君のなみだ」というのだから、その友の身の上に何か大きな挫折とか不幸な出来事が起こったのでしょうか。「望むひとに夢に めぐり逢えたか」と訊ね、そして、その友が、冬の寒さの向こうに春の訪れを見い出すことができているのかと案じる俺。一日も早く、悲しみや後悔の念から解き放たれてほしいと願って友のために俺が歌う一片の歌。
今は遠く離れている友の住む町の空に向かい「君に届け」とばかりに、俺が、心こめて歌うこの歌が聴こえるか?俺が心こめて歌うこの歌よ、どうか君の見上げている空に、届いてくれ! そして、君の空に春を告げてくれ!
今は遠く離れている友の住む町の空に向かい「君に届け」とばかりに、俺が、心こめて歌うこの歌が聴こえるか?俺が心こめて歌うこの歌よ、どうか君の見上げている空に、届いてくれ! そして、君の空に春を告げてくれ!
この曲は、コンサート・ライブで聴くと、さらにこみあげてくるものがあります。
1997年の舟木さんは・・・
(大倉明著「青春賛歌」巻末年表より)
1月2日 名古屋・中日劇場公演「坊ちゃん奉行」を開催(27日まで)
1月5日 NHK大河ドラマ「毛利元就」に「椋梨景勝」役で出演。
2月1日 大阪・新歌舞伎座で芸能活動35周年特別公演「坊ちゃん奉行」などを開催(25日まで)
3月16日 埼玉・大宮ソニックシティから全国各地で芸能生活35周年記念リサイタルを行う。
5月30日 舟木一夫・松竹新喜劇合同ツアー公演「お祭り提灯」「駕籠や捕物帳」を全国21会場で開催(6月27日まで)
8月4日 東京・新橋演舞場初公演「野口雨情物語」を開催(28日まで)
10月1日 京都・南座公演「喧嘩安兵衛」を開催(25日まで)
12月8日 東京・中野サンプラザ「ファイナルコンサート1997」を開催。
1月5日 NHK大河ドラマ「毛利元就」に「椋梨景勝」役で出演。
2月1日 大阪・新歌舞伎座で芸能活動35周年特別公演「坊ちゃん奉行」などを開催(25日まで)
3月16日 埼玉・大宮ソニックシティから全国各地で芸能生活35周年記念リサイタルを行う。
5月30日 舟木一夫・松竹新喜劇合同ツアー公演「お祭り提灯」「駕籠や捕物帳」を全国21会場で開催(6月27日まで)
8月4日 東京・新橋演舞場初公演「野口雨情物語」を開催(28日まで)
10月1日 京都・南座公演「喧嘩安兵衛」を開催(25日まで)
12月8日 東京・中野サンプラザ「ファイナルコンサート1997」を開催。
1997年は、主要都市の舞台公演、舞台の全国ツアー、ツアーコンサート、大河ドラマ出演、新橋演舞場初公演、中野サンプラザでのファイナルコンサートもこの年にスタート・・・
などなど、芸能界の表舞台へのめざましい「復帰」への快進撃が軌道に乗ってきている頃です。
「君へ心こめて」は、そんなエネルギーに満ち溢れた舟木さんの熱い想いや、また舟木さんの快進撃を見守っていらっしゃるファンの皆さんへの深い感謝と愛情とが、ぎっしり詰まった楽曲になっていますね。詩もメロディーも舟木さんの歌唱も、力強くパワフルで熱っぽく、しかも優しさに縁どられています。
1997年発売の「君へ心こめて」のカップリング曲は「29小節の挽歌」です。
アルバム「29小節の挽歌」(1980年1月発売)に収録されたものの再録音盤
この曲も、舟木さんの御自作なので、併せてご紹介しておきます。
「君へ心こめて」の男の熱い想いや力強さとは、打って変わって男のナイーブな一面を詠っています。
男性の見せる、ふたつの顔が、見事にカップリングされて、このシングル盤の選曲のセンスもまた心憎いばかりだと思います。「君へ心こめて」は、男が男に見せる顔、「29小節の挽歌」は、歌詩にもあるように、真夜中を過ぎて、夜がしらじら明けてくる前の、しーんと冷え切った空気の中で、男が、別れた女性を想って見せる顔・・・なのでしょう。
「想い出とぼとぼ すまなさばかりで」・・ってなにやらカッコ好くない女々しい男みたいですけど「俺だけのために 生まれてくれた人へ」なんてフレーズは、それとは真逆で、舟木さんだから許せるような傲慢さ(笑)
でも、男にそう思わせるほど、別れた女性は、この「俺」を愛し、尽くしてくれだんだろうと、想像させます。
でも、男にそう思わせるほど、別れた女性は、この「俺」を愛し、尽くしてくれだんだろうと、想像させます。
次は、この歌の中で、私がう~んと唸った部分です。「祈りを集めて 燐寸(まっち)をかざせば ただはるばる影をひく 出逢いと別離(わかれ)と」・・舟木さんの紡ぎ出す言葉の世界は、とってもシュールで魔法のように絵が見えてくるのが素晴らしいです。続いてのツーコーラス目「ためいきつなげて もたれる・・まどろむ」・・このフレーズも心をわしづかみにします。感覚の世界を、こんな風に言葉にして、なおかつイメージが伝わってくるんですから言葉の魔術師です(笑)
「何よりも今は はるかなひとの胸に 二度と苦しみの ないことを願う」・・・別れた恋人の心のうちを心配
しているのですが、むしろ、本当に淋しく辛いのは「俺」の方なのかも・・・「過去に裁かれて生きる」ことを
引き受けようとする俺は、いったいどんな「過去の誤ち」を犯したのかこれまた、色々と想像させますね。
しているのですが、むしろ、本当に淋しく辛いのは「俺」の方なのかも・・・「過去に裁かれて生きる」ことを
引き受けようとする俺は、いったいどんな「過去の誤ち」を犯したのかこれまた、色々と想像させますね。
「何も見えない どこへも行けない」・・かざした燐寸の残り火がぼやけて見えるのはきっと男の涙のせい・・
強がってはいるけれど、隠しきれない男の弱さ、ナイーブさ・・そんなものを舟木さんが歌うととっても優しく聴こえてくるのです。
結局、強い男も弱い男も舟木さんが描く男はみ~んな魅力的になってしまうのですね。反則だぞォ~ッ(笑)
いつも感じるのは、舟木さんのステージのトークでもそうなのですが、「なげかける」感じ・・一から十まで、
すべてを「押しつける」んではなく、「余白を残す」という粋なスタイルとでもいえばいいのでしょうか。それ
が舟木流かな・・と思います。「君へ心こめて」も「29小節の挽歌」も、きわめて「余白」に満ちた詩の世界
のように思います。聴き手のイマジネーションをかきたてるという意味では、平成の歌謡曲のセンターに位置している「カラオケ演歌」とは相容れない詩の世界観があるように思われます。
すべてを「押しつける」んではなく、「余白を残す」という粋なスタイルとでもいえばいいのでしょうか。それ
が舟木流かな・・と思います。「君へ心こめて」も「29小節の挽歌」も、きわめて「余白」に満ちた詩の世界
のように思います。聴き手のイマジネーションをかきたてるという意味では、平成の歌謡曲のセンターに位置している「カラオケ演歌」とは相容れない詩の世界観があるように思われます。
どんなに呼んでも とどかぬ昔へ
もう遅いと知りながら 口ずさむ挽歌
追いつめてつかみきれず 死なせた幸せ
立ちつくすだけの 二人に出来たことは
せめてさよならに 愛を込めて泣いて・・・
想い出とぼとぼ すまなさばかりで
ただ寒々時をうつ 夜更けが背中で
悲しみきざみの 煙草の辛さに
もう夜明けとほぞを噛む 空箱をふやす
冷えた唇にのせる つぶやきはひとつ
俺だけのために 生まれてくれたひとへ
たとえ浅くとも 冬よりは春を
祈りを集めて 燐寸(まっち)をかざせば
ただはるばる影をひく 出逢いと別離(わかれ)と
もう夜明けとほぞを噛む 空箱をふやす
冷えた唇にのせる つぶやきはひとつ
俺だけのために 生まれてくれたひとへ
たとえ浅くとも 冬よりは春を
祈りを集めて 燐寸(まっち)をかざせば
ただはるばる影をひく 出逢いと別離(わかれ)と
ためいきつなげて もたれる・・まどろむ
もう眠りの中でさえ あの夢は遠い
過去に裁かれて生きる 俺はそれもいい
何よりも今は はるかなひとの胸に
二度と苦しみの ないことを願う
何も見えない どこへも行けない
ただ細々溶けてゆく なみだと残り火
もう眠りの中でさえ あの夢は遠い
過去に裁かれて生きる 俺はそれもいい
何よりも今は はるかなひとの胸に
二度と苦しみの ないことを願う
何も見えない どこへも行けない
ただ細々溶けてゆく なみだと残り火
このアルバムには以下の曲が収録されています。10曲中、自作曲は5曲。
アルバム「29小節の挽歌」(1980年1月発売)
BRANDY & SMOKIN(作詩・作曲:舟木一夫) http://www.youtube.com/watch?v=Dn1YNh5n4Sc
29小節の挽歌(作詩・作曲:舟木一夫)
明日は明日で(作詩・作曲:舟木一夫)
ふるえて眠れ
グッド・バイ・ソング(作詩・作曲:舟木一夫)
ブルースを聞きながら
煙草のけむり
どうせオン・ザ・ロック(作詩・作曲:舟木一夫) http://www.youtube.com/watch?v=FS4x4oQdAqk
ハッシャ・バイ(祭りの後)
雨の物語
29小節の挽歌(作詩・作曲:舟木一夫)
明日は明日で(作詩・作曲:舟木一夫)
ふるえて眠れ
グッド・バイ・ソング(作詩・作曲:舟木一夫)
ブルースを聞きながら
煙草のけむり
どうせオン・ザ・ロック(作詩・作曲:舟木一夫) http://www.youtube.com/watch?v=FS4x4oQdAqk
ハッシャ・バイ(祭りの後)
雨の物語