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Channel: 舟木一夫の世界~れんげ草の咲くさんぽ径~
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舟友さんの最新動画「星の夜北へ帰る」(15周年記念アルバム「限りない青春の季節」収録)

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私が是非とも動画化して、ひとりでもたくさんの舟木さんファンに聴いていただきたいと念願していた作品を、舟友のkazuyanさんが、センスと技を駆使して、素晴らしい動画にしてくださいました。
一番最近では、昨年12月26日の新橋演舞場シアターコンサートで聴かせていただきました。今の舟木さんの歌唱では、さらにスケールが大きくて重厚ですが、この音源では繊細な三十代の舟木さんの歌唱の
魅力をお楽しみください。
 
星の夜北へ帰る  作詩:関沢新一  作曲:船村徹
https://www.youtube.com/watch?v=1fqZCYTJFNE&feature=youtu.be
(1977年 15周年記念アルバム舟木一夫大全集「限りない青春の季節」未発売オリジナル12曲)収録
 
イメージ 2果てしなき 荒野を行けば
ほほぬらす 星の涙よ
ふるさとは 母のいる国
夜ごと見る 夢より遠し
 
駒とめて 静寂(しじま)の中に
あおぎ見る 星の思い出
イメージ 3あの星は 指きりの星
この星は 恋そめし星
 
花咲けど その名も知らず
若き日の 君は旅人
人の世の 運命(さだめ)はかなく
あの星に いつの日逢わん
 
 
 
 
私が初めてこの曲と出逢ったのは、舟木さんと「再会」して間もない頃、まだレコードは勿論、CDも持っていなくて、まずは舟木さんの歌をyoutubeで捜して聴いていた頃のことです。ところがしばらくするとその動画は「削除」されてしまいとても残念に思っていましたので、この度、kazuyanさんの動画でご紹介することができて本当に嬉しく思っています。
 
初めて聴いたときから「ひと目ぼれ」ならぬ「ひと耳ぼれ」でした。
舟木さんの歌声も素晴らしければ詩もメロディーも「歌謡曲」「流行歌」という枠を大きく超えていると感じました。雄大な自然、そのまた先の宇宙にまで広がるようなスケールでありながら洗練されたナイーブな言葉の数々は都会的なスマートさも同時に内包しているようです。

タイトルからして優れて「詩的」なこの曲、そして一連目から三連目まで、どのフレーズにも文学的な香りが色濃く感じられます。また、この曲は、メロディーが先にあったとしても、このような詩の世界を紡ぎ出すことを喚起させるだけの詩人の心を揺さぶる力があるとも思います。

詩が先にあってメロディーがつけられることによって、さらにひとまわりスケールの大きな楽曲になったのか、このドラマチックなメロディーが先にあって、より磨き抜かれた詩が生まれたのか……どちらであっても決して不思議ではない作品だと思います。

最初、私は、歌詩(文字で表された目から入ってくる詩)を見ることもなく、耳だけで舟木さんの歌唱を聴いただけです。それでも、澄みきった冴え冴えとした空気や、満天に輝きわたる一面の星空を肌で感じることができたのは舟木さんの突き抜けた透明感のある歌唱によるものだったのだと思います。
 
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それは「想いのこもった」というありきたりな表現では言葉が足りないほどでした。私の思いつく限りの言葉の中でやっと近いと思える言葉として「崇高な」と言えばいいでしょうか。
この曲が、15周年記念アルバム「限りない青春の季節」10枚組のレコードのうち「未発売オリジナル曲」という1枚に収録されていることを知ったのは、その後のことです。
 
こんな素晴らしい曲が、なぜ「未発売曲」として埋もれていたのか?という疑問が私を捉えました。
 
イメージ 5この10枚組アルバム「限りない青春の季節」が欲しくて、ネットオークションをずっとチェックしていましたが、なかなか出品がありませんでした。そうこうするうちに、30周年記念として発売された「陽射し・旅人」というタイトルの10枚組CDの中に、この曲が収録されていることを知り、こちらはamazonで購入することができました。この「陽射し・旅人」に付いていた歌詩と解説の冊子に、舟木さんが寄稿されている文章があって、そこで「星の夜北へ帰る」が、ずっと未発売となっていた理由を書いていらっしゃるのを読んで、その疑問がストンと解決できました。
 
再々掲載ですが、実際に舟木さんの歌声を聴いていただいてから読むと、また得心のいく文章になると思います。
 
15周年記念アルバムで初めて陽の目を見た「星の夜北へ帰る」、この曲と格闘してきた若い日の舟木さんの「歌に対する真摯な姿勢」に感動しました。また、歌い手をこのような気持ちにさせる作品を生みだす作家(詩・メロディー)の力の偉大さにもあらためて気づかされる想いでした。
 
イメージ 6~歌手生活30周年記念 
舟木一夫大全集「陽射し・旅人」
舟木一夫 思い出の曲寄稿集より 
 
これは15周年のアルバムに入れたものですが、しかし曲が出来上がってきたのは、僕が19才の時ですから昭和39年でした。その時1回レコーディングしたのですが、曲のスケールに、歌い手が負けてしまい、どうしても歌いきれませんでした。こんな経験をしたのはこの作品が初めてでした。「くやしい」という気持ちが心の片隅にあったのでしょう。それから10年後にアレンジを変えて再チャレンジしました。しかし、やっぱりダメでした。くやしさは増すばかりでした。必ず、いつか歌いきってやるというつもりで、15周年の時にアレンジを再び変えて、再々チャレンジをしました。そして15年目にして、やっとなんとか自分でも納得する歌に仕上がりました。この作品ほど、歌い手が作品に位負けしたということを感じた作品はありませんでした。


それは、作品が素晴らし過ぎたからだったと初めて理解できました。また、詩と曲が、どなたかということもとても気になっていましたが、作家のお名前がわかって、これも納得でした。
作曲は、かの船村徹さん。そして作詩が関沢新一さん。関沢さんもまたマルチな才能をお持ちの方で舟木
さんファンならよく御存じの「学園広場」「高原のお嬢さん」「銭形平次」などの大ヒット曲を作詩された方です。このおふたりの手になる「星の夜北へ帰る」だったのです。
 
舟木さんにとって「歌」とは、年若い頃から、単なる道具や対象物ではなく、畏敬の念をもって対峙するものだったのですね。だからこそ、言葉であっても、ひとつひとつの音であっても、ガラス細工の壊れものをそっと手のひらで包み込むような繊細さで丁寧に大切に唄う歌い手として、今も、私たちに限りない満足感を与えてくださるのだと思います。
 
 
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