新歌舞伎座 舟木一夫特別公演 2月1日~2月20日
私の地元では、日曜日と月曜日は、春を思わせる陽射しでした。さんぽ径の途中にある紅梅の樹の蕾が日一日と増えていき色も濃くなってきているようです。ポンコツの携帯カメラで撮影したのでピンボケ画像ですが、実物はとっても鮮やかなピンク色です。抜けるような青空にピンクの蕾。
三寒四温で、まだしばらくは本格的な春は遠いのでしょうがこんな自然の生み出すコントラストの色合いを目にすると心が弾みますね。
ちょっと日が空いてしまいましたが、2月14日の新歌舞伎座公演の模様をご報告します。
第一部 ~花の風来坊~おとぼけ侍奮闘記
2015年2月14日 昼・夜 観劇
2015年2月14日 昼・夜 観劇
原作:北園孝吉「おとぼけ侍」より
脚本:井川公彦
補綴・演出:成瀬芳一
脚本:井川公彦
補綴・演出:成瀬芳一
今回のお芝居「花の風来坊~おとぼけ侍奮闘記」は、リクツ抜きにただノンビリと肩の力を抜いて楽しむだけという気分で拝見できます。ですから、特にとりたててご紹介する部分がないといえばない…(笑)
そこで、舟木さんご自身がパンフレットの巻頭のご挨拶でおっしゃっていることをほんのちょっとだけ引用させていただきます。
「当劇場での長期公演は約一年振り。今回の『花の風来坊』は理屈立てた筋やセリフはひとっつもありまへんので、どーぞ、鼻の先っちょにひっかけてお楽しみいただければ”有難き幸せ…”でござりまする。」
以下は、私の独断と偏見による見どころですが…
見どころ その1
舟木さんが、それぞれの場面に合わせた衣裳を5点着替えられます。粋な網代格子だったり、遊び人風の女物柄を婀娜っぽく着流しにしたり、浪人風のシックな柄の着流しだったり、最後には殿様らしいきらび
やかな羽織・袴で登場したりします。ラストの場面ではその羽織と袴を早変りのようにして脱ぎすてて葵の紋の入った鮮やかな紫と白の着流し姿になって客席をざわめかせます。
やかな羽織・袴で登場したりします。ラストの場面ではその羽織と袴を早変りのようにして脱ぎすてて葵の紋の入った鮮やかな紫と白の着流し姿になって客席をざわめかせます。
舟友さんから頂戴した「花の風来坊オリジナル風呂敷」(お楽しみ企画)の柄は、最初は気づきませんでしたが、よく見るとお芝居で着ていらっしゃる着物の柄のようです(パンフレットの表紙になっています)
見どころ その2
今回のお芝居の原作は「おとぼけ侍」(北園孝吉作)というタイトルですがお芝居のタイトルは「花の風来坊」というように舟木さんのニンに合わせた華やかなものになっています。この「おとぼけ」という言葉がピッタリなのが、曾我廼家文童さん扮する主人公、松平誠之助(天下泰平)の側用人・後藤五郎左衛門です。文童さんの「おとぼけぶり」が舟木さんの笑いのツボにもピタッとハマっているようで日を追うごとにお二人のからみがある場面では舟木さんが懸命に笑いをこらえているのが伝わってきます。当の文童さんは終始「キョトン」としたお顔で、ご自身は大真面目という風なのが、これまたなんとも可笑しみがあって客席の空気があたたかくなります。諸々の言葉のギャグももちろんありますがそういうことよりも空気感とか間合いとか表情とか…喜劇の舞台経験を積んだ俳優さんならではのものなんでしょうね。
*林与一さんが頭に巻いていらっしゃる手ぬぐいは今回の公演のご祝儀として作られた手ぬぐいのようでした。
見どころ その3
舟木さん、与一さん、葉山さん、稀世さんの揃う場面は、絵面(えづら)も綺麗ですが、醸し出す雰囲気がやはりしっとりと和風で粋で「舟木一座の華」というところでしょう。お芝居の構成の中にこういった場面を仕込んであるのはさすがだと思います。
稀世さんは「小唄のお師匠さん」という役どころで、丹羽さんがねずみ小僧の二代目になりたいとなどと子どもっぽいことを夢見ている年下の色男。やんちゃでどうしようもない男でも惚れた弱み、まして年上という設定です。そこで舟木さん(泰平)が、「あの人のどこがいいかと尋ねる人に どこが悪いと問い返す」という都々逸(どどいつ)を唄ってきかせてくださるのですが、ここも私のワクワクする場面です。
大人の恋のしんみり、しみじみした情感も盛り込んだところがただのドタバタ喜劇に終わらせないという気の利いた演出です。
大人の恋のしんみり、しみじみした情感も盛り込んだところがただのドタバタ喜劇に終わらせないという気の利いた演出です。
見どころ その4
毎回、お茶目な役どころのかずきさん(日菜)が、今回はおしとやかなセンを最後まで外さず誠之助(泰平)さんのハートを射止めるお役です。おふたりの恋心が、大きなピンクのハートマークのライトで表現されるのが漫画チックで、何度見ても必ず笑ってしまいます。
結論
舟木一座のお馴染みの皆さん、出番がちょっと少なくてザンネンな方たちもしっかり脇を固めてポジションを守っていらっしゃるのが気持ちよくて、喜劇というのは、脚本も大切ですが何よりチームワークが一番の戦力になるんだということがよくわかります。
私はあとは19日の夜にスタンダードなお芝居を見ますが、翌日の千秋楽のお芝居がどんなことになるの
か、あれこれ想像をたくましくして今から楽しみにしています。舟木さんのイタズラはどこまでいくのでしょうね(笑)
コンサートの模様は、いつものように舟木さんのトークを交えてご紹介します。
舟木さんのトーク部分はピンク文字です。
舟木さんのトーク部分はピンク文字です。
2015年2月14日 昼の部 第二部 シアターコンサート
舟友さんのプレゼントのお花・バレンタインヴァージョン
~オープニング
眠らない青春
眠らない青春
~プレゼントタイム
くちなしのバラード
ブルートランペット
北国の街
東京は恋する
プレゼントタイムにたくさんのチョコレートをプレゼントをいただいた舟木さん。
今日は、世の中はバレンタインデーですが……(テーブルに並んだプレゼントを見て)いっぱいあってもチョコっと(笑)
いただきものをするときは握手をするんですが、こちらの手がつぶれるくらい握ってくる方と汚れものでも触るような方がいて、性格が出るんでしょうね。
高校三年生でデビューして、その後テレビドラマの「赤穂浪士」に出させていただいて「右衛門七討入り」とか日本調もずい分唄ってきて、短期間であらゆる部屋のドアを開ける感じで歌を唄っていました。そして、ここがお前さんのポジションだろうというので出てきたのが抒情歌です。
初恋
流行歌というのはどんな時代でも季節に左右される。同じ「青い空」といっても夏の空だったり、秋の空だったりするんですが…最近は季節がぼやけてきて、夏の尻尾を引きずったまま秋になったりする。今の子どもは僕が少年時代の時の景色を経験してないんじゃないかと…北海道なんかも、僕が「その人は昔」のロケで行った時とは変わっていて、もう今はあの頃の恐いような海は見られない気がします。
歌にはいろんなタイプがあって、お聞かせするタイプのもの、いっしょに騒いで楽しんでいただくもの…ということでここはご一緒に
~スタンディング 手ぬぐいまき
君よ振りむくな
いつもの手ぬぐい談義の後…
昔はお寿司屋さんもねじり鉢巻でしたが、今はあの白い帽子みたいなのでしょ。なんて呼ぶのかわかりま
せんが…髪の毛が入るといけないからというので多分、衛生局なんかのお達しなんでしょうけれど、元々お寿司屋さんていうのは髪の毛を短く刈ってるんで、その髪の毛が1本ぐらい入っても…ね。もしここに衛生局の方がいたら…もう言っちゃったものは仕方がないないですが…(笑)
せんが…髪の毛が入るといけないからというので多分、衛生局なんかのお達しなんでしょうけれど、元々お寿司屋さんていうのは髪の毛を短く刈ってるんで、その髪の毛が1本ぐらい入っても…ね。もしここに衛生局の方がいたら…もう言っちゃったものは仕方がないないですが…(笑)
ジャケットをベージュ系のよくみるとチェック柄のものに着替えながらのトーク
僕が7、8才の頃にリアルタイムで聞いたものからこっちの流行歌、そのまま放っておくのがもったいないし、薄情なような気がするんですね…
今回は「浪花=なにわ」というのでくくりました。なにわなくとも江戸むらさき…今年もバカで~す(笑)
~日本の名曲たち(2月10日~)
道頓堀人情 作詩:若山かほる 作曲:山田年秋
ふられたぐらいで 泣くのはあほや
呑んで忘れろ 雨の夜は
負けたらあかん 負けたらあかんで東京に
冷めとない やさしい街や 道頓堀は
未練捨てたら けじめをつけて
きっぱりきょうから 浪花に生きるのさ
くちびるかんでも きのうは過去や
わかるやつには わかってる
負けたらあかん 負けたらあかんで東京に
冷めとない やさしい街や道頓堀は
でんと構えた 通天閣は
どっこい生きてる 浪花のど根性
わかるやつには わかってる
負けたらあかん 負けたらあかんで東京に
冷めとない やさしい街や道頓堀は
でんと構えた 通天閣は
どっこい生きてる 浪花のど根性
三吉魂 あんたにあれば
うちが小春に なりもしょう
負けたらあかん 負けたらあかんで東京に
冷とない やさしい街や道頓堀は
ほれてつきあう 今夜の酒は
まっ赤に流れる 浪花のど根性
うちが小春に なりもしょう
負けたらあかん 負けたらあかんで東京に
冷とない やさしい街や道頓堀は
ほれてつきあう 今夜の酒は
まっ赤に流れる 浪花のど根性
河内おとこ節 作詩:石本美由紀 作曲:岡千秋
河内生まれの 風来坊は
生きのいゝのが あゝ…売りもんや
サテモ皆さま おそまつながら
こゝが男の 舞台なら
太鼓叩いて 見栄を切る
喧嘩囃子の 河内ぶし
一に度胸や 二に人情や
後は腕づく あゝ…腕しだい
サテモ皆さま 悪声ながら
坂田三吉 物語り
派手な掛声 頂いて
唸る男の 河内ぶし
後は腕づく あゝ…腕しだい
サテモ皆さま 悪声ながら
坂田三吉 物語り
派手な掛声 頂いて
唸る男の 河内ぶし
馬鹿な息子と 叱ってくれる
俺の親父は ああ…生駒山
サテモ皆さま おおそれながら
肌は鉄火の 勇み肌
グイと冷酒 飲みほして
仁義がわりの 河内ぶし
肌は鉄火の 勇み肌
グイと冷酒 飲みほして
仁義がわりの 河内ぶし
ここでチャンネルを52、3年前に戻して…
以下の4曲は、いずれも1977年再録音盤(15周年記念アルバム「限りない青春の季節」収録)
舟友のkazuyanさんにお願して作成していただいた動画作品です。
ラストブロックは、男も女も、いつの時代も、誰もが通り過ぎてきた風景、初めての恋というのを…
高原のお嬢さん
~バラードver.
~アンコール
明日咲くつぼみに
2015年2月14日 夜の部 第二部 シアターコンサート
夜の部では、客席に舞妓さんの姿がありました。バレンタインデーに舞妓さんとは、素敵な計らいですね。
歌舞伎興行でも、舞妓さんや芸妓さんたちの総見(そうけん)があって華やぎますが、この日も、いい景色を見せていただきました。
歌舞伎興行でも、舞妓さんや芸妓さんたちの総見(そうけん)があって華やぎますが、この日も、いい景色を見せていただきました。
~オープニング
恋唄
着物姿で登場の舟木さん。
暦の上では立春も過ぎましたが朝晩の冷え込みはまだまだ…そんな中ようこそおいで下さいました。
絶唱
夕笛
とうとう今日は、爺(ジイ=お芝居での曾我廼家文童さん)に完敗してしまいました。罰金をとられました。「涙」というのは、誰でもだいたい同じで共通してると思うのですが、「笑い」というのは人によって違う…Aの人を見てBの人が面白いというのは、共通していない。あの人(文童さん)とはサイクルが合っちゃうんですよ。今日はついに敗れ去りました。ハ、ハ、ハ…今、思いだしてもおかしいや!(笑)…と、とっても楽しそうにお喋りする舟木さんに、ほっこりしました。
今日は、最前列に真っ白な人たち(舞妓さんのことでしょう)が…おこしやす(笑)
演歌には色んな字を当てますが、ここから並べた歌は「艶歌(つやうた)」のジャンルのもの…
演歌には色んな字を当てますが、ここから並べた歌は「艶歌(つやうた)」のジャンルのもの…
(kazuyanさんの動画です)
(先日ご紹介したkazuyanさんの最新の動画作品です)
「ライブ」っていうのは、僕らはピンとこない。まぁ、こんな恰好(着物姿)して唄ってるんですから。
昔は「実演」という言い方もありましたが…その頃は、ニセモノがいた。「舟本一夫(フナモトカズオ)ショー」というのに実際に出くわしたことがあります。決してウソを言ってるワケではないんですね。
美空ひはり、鳥倉千代子…なんていうのもあった(笑)
ここは、ワァ~ッ!と一緒にやっていただきましょう。
昔は「実演」という言い方もありましたが…その頃は、ニセモノがいた。「舟本一夫(フナモトカズオ)ショー」というのに実際に出くわしたことがあります。決してウソを言ってるワケではないんですね。
美空ひはり、鳥倉千代子…なんていうのもあった(笑)
ここは、ワァ~ッ!と一緒にやっていただきましょう。
~プレゼントタイム&サインボール
銭形平次
舟友さんの夜の部のプレゼントの花束。こちらも見事!
着物姿で、サインボールを打つ舟木さん。ちょっと打ちにくそうですが、三階まで3球くらい届きました。
この日も、跳ね返ってステージに戻ってしまったのが1個ありました。それは、そのままで舟木さんは舞台の上手袖へ入り、変わって花道スッポンから、林与一さん扮する「鳶の親方」がせり上がって来ました。
~舞~火消し若衆アレンジで
林与一、林啓二、長谷川かずき、川上彌生、真木一之(敬称略)
この日も、跳ね返ってステージに戻ってしまったのが1個ありました。それは、そのままで舟木さんは舞台の上手袖へ入り、変わって花道スッポンから、林与一さん扮する「鳶の親方」がせり上がって来ました。
~舞~火消し若衆アレンジで
林与一、林啓二、長谷川かずき、川上彌生、真木一之(敬称略)
林啓二さん、長谷川かずきさん、川上彌生さん、真木一之さんが加わって踊る中で、与一さんが、ボールに気づいて、なにげに客席へ投げ、お客さんたちが気になっていたボールの行き先も決まって一件落着し
ました。
ました。
踊り手さんたちが、舞台中央の迫(せり)で奈落に消えると、舟木さんが再び上手袖から登場。和服からジャケットスタイルにお色直し。地模様のある濃紫紺に見えるタキシード風ジャケットに黒のベストとパンツ、蝶ネクタイに白のシャツ。「花咲く乙女たち」を唄いながら、プレゼントを受け取っていきます。
プレゼントタイム
~花咲く乙女たち
~花咲く乙女たち
先ほどの踊り手さんたちの紹介。林与一さんが、この日がお誕生日で73才になられたとの紹介もありました。舟木さんも若々しいですが、与一さんも、とてもお若くて、踊りを拝見してても軽やかで73才には見えません。
日本の名曲たち(2月10日~)
大阪しぐれ 作詩:吉岡治 作曲:市川昭介
https://www.youtube.com/watch?v=op-gkoNEN8g
https://www.youtube.com/watch?v=op-gkoNEN8g
(kazuyanさんの動画です)
(1981年 アルバム「どうしているかい」収録音源)
(1981年 アルバム「どうしているかい」収録音源)
ひとりで 生きてくなんて できないと
泣いてすがればネオンが ネオンがしみる
北の新地は おもいでばかり
雨もよう 夢もぬれます
ああ大阪しぐれ
泣いてすがればネオンが ネオンがしみる
北の新地は おもいでばかり
雨もよう 夢もぬれます
ああ大阪しぐれ
ひとつや ふたつじゃないの ふるきずは
噂並木の堂島 堂島すずめ
こんな私でいいならあげる
何もかも 抱いてください
ああ大阪しぐれ
噂並木の堂島 堂島すずめ
こんな私でいいならあげる
何もかも 抱いてください
ああ大阪しぐれ
しあわせ それとも今は ふしあわせ
酔ってあなたは曽根崎 曽根崎あたり
つくし足りない 私が悪い
あの人を 雨よ帰して
ああ大阪しぐれ
酔ってあなたは曽根崎 曽根崎あたり
つくし足りない 私が悪い
あの人を 雨よ帰して
ああ大阪しぐれ
浪花盃 作詩:石本美由起 作曲:市川昭介
約束の うれしさ胸に 口紅をさす
待ち人 待つ夜の 宵化粧
浪花盃 曽根崎ごころ
酒に 女に 思い込めりゃ
酌をする手も 酌をする手も ふるえがち
愛しても この世の義理に つまづいて
さだめを泣きたい 露地ばかり
浪花盃 曽根崎ごころ
好きなだけでは 添えない命
夢が欲しさに 夢が欲しさに また燃える
さだめを泣きたい 露地ばかり
浪花盃 曽根崎ごころ
好きなだけでは 添えない命
夢が欲しさに 夢が欲しさに また燃える
盃を 重ねて過ごす 夜だけは
私のあなたで いてほしい
浪花盃 曽根崎ごころ
妻になる日は なくてもいいと
言った言葉の 言った言葉の 裏で泣く
私のあなたで いてほしい
浪花盃 曽根崎ごころ
妻になる日は なくてもいいと
言った言葉の 言った言葉の 裏で泣く
ここで、52、3年前の歌を…
高校三年生
~プレゼントタイム
修学旅行
修学旅行
仲間たち
君たちがいて僕がいた
学園広場
流行歌は時代の中で生まれ、時代の中で流れていく。「流行歌」とはよく云ったものですね。どれもおおらかでのびやかですね。
ラストは、誰もが通ってきた風景。
一曲目は「その人は昔のテーマ」…なぜ、テーマというのか…これは組曲なんで全部やると46分かかる
んです。映画の主題歌として聞いていただければ…
んです。映画の主題歌として聞いていただければ…
その人は昔のテーマ
哀愁の夜
眠らない青春
いったん幕が降りて、大きな拍手の中、再び幕が上がるとジャケットが黒に変わりフォーマルなタキシードスタイルになって登場。
アンコール
~高原のお嬢さん
~高原のお嬢さん
「高原のお嬢さん」は、今回の舞台でも昼はバラードヴァージョンでアダルトなムードを堪能させていただき、夜は、スタンダードスタイルで、懐かしく聞かせていただけるという趣向でした。
ステージで最強の魅力を発揮する曲のひとつである「高原のお嬢さん」です。お別れのご挨拶で「僕の好きな曲です」と言われましたが、舟木さんが我が子に対するような想いを込めて、手塩にかけて慈しんでこられたからこそ、これほどスケールの大きな歌に成長したのですね。
ヒットした歌をたくさん持っているだけでは、「懐かしのメロディーの歌い手」ということなのでしょうが、そのヒット曲をステージの構成の中で、どういった役割を持たせて、さらに輝かせていくのかということを常に念頭におきアレンジを加えることで、違った角度から光をあてて、新鮮な魅力を引きだしていくという舟木さんの歌に対する向き合い方は、本当に真摯で謙虚で、これが本物の現役選手なんだと感服させられます。
いよいよ私の新歌舞伎座特別公演詣では、前楽の夜の部と千秋楽を残すのみとなりました。
また、楽しいご報告ができることと思います。あとわずかとなった公演期間の舟木さんのご健康と興行の益々の御盛況を祈って今回のレポートを終わります。