今年も、島崎藤村の命日「藤村忌」がやってきました。
藤村と舟木さん…といえば「初恋」、そして、もう一曲、私が大好きな「君がこゝろは」
私たち世代が青春時代に親しんだ「若菜集」収録の作品も併せて、あらためて、ご紹介します。
藤村記念館 HP より
http://toson.jp/publics/index/20/
http://toson.jp/publics/index/20/
島崎藤村
明治5年(1872)3月25日(旧暦2月17日)、筑摩県馬籠村(後の長野県西筑摩郡神坂村、現岐阜県中津川市馬籠)に生まれる。
本名島崎春樹(しまざき はるき)生家は江戸時代、本陣、庄屋、問屋をかねた旧家。父正樹、母ぬいの間の末子。
明治14年、9歳で学問のため上京、同郷の吉村家に寄宿しながら日本橋の泰明小学校に通う。明治学院普通科卒業。
卒業後「女学雑誌」に翻訳・エッセイを寄稿しはじめ、明治25年、北村透谷の評論「厭世詩家と女性」に感動し、翌年1月、雑誌「文学界」の創刊に参加。
明治女学校、東北学院で教鞭をとるかたわら「文学界」で北村透谷らとともに浪漫派詩人として活躍。
明治30年には第一詩集『若菜集』を刊行し、近代日本浪漫主義の代表詩人としてその文学的第一歩を踏み出した。
『一葉舟』『夏草』と続刊、明治32年函館出身の秦冬子と結婚。
長野県小諸義塾に赴任。第四詩集『落梅集』を刊行。
『千曲川旅情のうた』『椰子の実』『惜別のうた』などは一世紀を越えた今も歌い継がれている。
『一葉舟』『夏草』と続刊、明治32年函館出身の秦冬子と結婚。
長野県小諸義塾に赴任。第四詩集『落梅集』を刊行。
『千曲川旅情のうた』『椰子の実』『惜別のうた』などは一世紀を越えた今も歌い継がれている。
詩人として出発した藤村は、徐々に散文に移行。
明治38年に上京、翌年『破戒』を自費出版、筆一本の小説家に転身した。続けて透谷らとの交遊を題材にした『春』、二大旧家の没落を描いた『家』などを出版、日本の自然主義文学を代表する作家となる。
明治43年、4人の幼い子供を残し妻死去。
明治38年に上京、翌年『破戒』を自費出版、筆一本の小説家に転身した。続けて透谷らとの交遊を題材にした『春』、二大旧家の没落を描いた『家』などを出版、日本の自然主義文学を代表する作家となる。
大正2年に渡仏、第一次世界大戦に遭遇し帰国。
童話集『幼きものに』、小説『桜の実の熟する時』、『新生』、『嵐』、紀行文集『仏蘭西だより』『海へ』などを発表。
昭和3年、川越出身の加藤静子と再婚。
昭和3年、川越出身の加藤静子と再婚。
昭和4年より10年まで「中央公論」に、父をモデルとして明治維新前後を描いた長編小説『夜明け前』を連載、歴史小説として高い評価を受ける。
昭和10年、初代日本ペンクラブ会長に就任、翌年日本代表として南米アルゼンチンで開催された国際ペンクラブ大会に出席。
昭和18年、大磯の自宅で、『東方の門』執筆中に倒れ、8月22日 71歳で逝去。
大磯町地福寺に埋葬される。馬籠の菩提寺永昌寺には遺髪・遺爪が分葬される。
大磯町地福寺に埋葬される。馬籠の菩提寺永昌寺には遺髪・遺爪が分葬される。
毎年命日の8月22日には菩提寺である永昌寺にて、関係者らにより藤村忌が執り行われています。
青空文庫 島崎藤村 若菜集 web サイト より
http://www.aozora.gr.jp/cards/000158/files/1508_18509.html
http://www.aozora.gr.jp/cards/000158/files/1508_18509.html
若菜集 島崎藤村
ひとふさのぶだうのごとし
なさけあるてにもつまれて
あたゝかきさけとなるらむ
ぶだうだなふかくかゝれる
むらさきのそれにあらねど
こゝろあるひとのなさけに
かげにおくふさのみつよつ
むらさきのそれにあらねど
こゝろあるひとのなさけに
かげにおくふさのみつよつ
そはうたのわかきゆゑなり
あぢはひもいろもあさくて
おほかたはかみてすつべき
うたゝねのゆめのそらごと
あぢはひもいろもあさくて
おほかたはかみてすつべき
うたゝねのゆめのそらごと
~以下は 秋の思 より ~
秋
秋は来ぬ
一葉(ひとは)は 花は露ありて
風の来て弾く琴の音に
青き葡萄は紫の
自然の酒とかはりけり
秋は来ぬ
秋は来ぬ
おくれさきだつ秋草も
みな夕霜のおきどころ
笑ひの酒を悲みの
盃にこそつぐべけれ
秋は来ぬ
おくれさきだつ秋草も
みな夕霜のおきどころ
笑ひの酒を悲みの
盃にこそつぐべけれ
秋は来ぬ
秋は来ぬ
くさきも紅葉(もみぢ)するものを
たれかは秋に酔はざらめ
智恵あり顔のさみしさに
君笛を吹けわれはうたはむ
秋は来ぬ
くさきも紅葉(もみぢ)するものを
たれかは秋に酔はざらめ
智恵あり顔のさみしさに
君笛を吹けわれはうたはむ
まだあげ初そめし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初そめしはじめなり
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初そめしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
島崎藤村 若菜集 初恋 舟木一夫歌唱
https://youtu.be/SGvJuVd2LoY
https://youtu.be/SGvJuVd2LoY
狐のわざ
庭にかくるゝ小狐の
人なきときに夜よるいでて
秋の葡萄の樹の影に
しのびてぬすむつゆのふさ
人なきときに夜よるいでて
秋の葡萄の樹の影に
しのびてぬすむつゆのふさ
恋は狐にあらねども
君は葡萄にあらねども
人しれずこそ忍びいで
君をぬすめる吾わが心
君は葡萄にあらねども
人しれずこそ忍びいで
君をぬすめる吾わが心
髪を洗へば紫の
小草のまへに色みえて
足をあぐれば花鳥の
われに随がふ風情あり
小草のまへに色みえて
足をあぐれば花鳥の
われに随がふ風情あり
目にながむれば彩雲(あやぐも)の
まきてはひらく絵巻物
手にとる酒は美酒(うまざけ)の
若き愁ひをたゝふめり
まきてはひらく絵巻物
手にとる酒は美酒(うまざけ)の
若き愁ひをたゝふめり
耳をたつれば歌神の
きたりて玉の簫(ふえ)を吹き
口をひらけばうたびとの
一ふしわれはこひうたふ
きたりて玉の簫(ふえ)を吹き
口をひらけばうたびとの
一ふしわれはこひうたふ
あゝかくまでにあやしくも
熱きこゝろのわれなれど
われをし君のこひしたふ
その涙にはおよばじな
熱きこゝろのわれなれど
われをし君のこひしたふ
その涙にはおよばじな
君がこゝろは蟋蟀(こほろぎ)の
風にさそはれ鳴くごとく
朝影清き花草に
惜しき涙をそゝぐらむ
風にさそはれ鳴くごとく
朝影清き花草に
惜しき涙をそゝぐらむ
それかきならす玉琴の
一つの糸のさはりさへ
君がこゝろにかぎりなき
しらべとこそはきこゆめれ
一つの糸のさはりさへ
君がこゝろにかぎりなき
しらべとこそはきこゆめれ
あゝなどかくは触れやすき
君が優しき心もて
かくばかりなる吾がこひに
触れたまはぬぞ恨みなる
君が優しき心もて
かくばかりなる吾がこひに
触れたまはぬぞ恨みなる
よろしければご参照ください
島崎藤村~8月22日は藤村忌 舟木さんのナレーションでたどる藤村の生涯 その1
http://blogs.yahoo.co.jp/ycmay26/68488410.html
http://blogs.yahoo.co.jp/ycmay26/68488410.html