初日の12月3日昼、4日の昼、11日の昼、12日の昼・夜、13日の昼・・・と6公演を観劇しての私見を少しご報告します。
いろは長屋の用心棒 ~山本周五郎原作 「人情裏長屋」より~
全体にゆる~く、のんびりした信兵衛さん像ですが、この最初の部分は、「蝦蟇の油」の口上をベースにして昔話の「桃太郎」をあしらいつつ「桃太郎侍」のキメ台詞~ひと~つ、人の世の生き血をすすり、ふたつ、不埒な悪行三昧、み~つ、醜い浮世の鬼を退治てくれよう、桃太郎~というテンポの早い長セリフに身ぶり手ぶりの御愛嬌で客席を沸かせて、信兵衛さんのお茶目ぶりを印象付けるという演出なのでしょうね。
観てるこちらも楽しいのですが、演じてる舟木さんが、もしかしたら一番楽しんでるいらっしゃるのでは?(笑)
観てるこちらも楽しいのですが、演じてる舟木さんが、もしかしたら一番楽しんでるいらっしゃるのでは?(笑)
役者さんたちのセリフは、変わりませんが、信兵衛さんのセリフで毎日のように変わるのは、姉上役の葉山さんと浪人の角倉重三郎役の大門さんの熟年カップルと岡本謙之輔役の丹羽さんと綾香役の川上さんのヤングカップルという二組のカップルが出来上がった時に、ひとりおいてけぼりにされて凹む時のセリフです。
私は、6回拝見しましたが、4パターンくらいありました(笑)ここでは、ネタばれになるので、伏せておきま~
す。これからどんなパターンがあらたに出てくるか、大いに楽しみましょう!
↓一階席、二階席を定価購入したチケット5回公演のスタンプで
信兵衛さんカレンダーがもらえます。
こんな楽しい舟木さんって本当に大好きだぁ~ッ![]()
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って叫びたくなります(笑)
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いわゆる「お笑い」の原理原則はナンセンスだと思うのですが、舟木さんは実に生理的にその「コメディ」感覚を会得していらっしゃると感じました。説明できない面白さ「=可笑しみ」ですね。物語のラストで、長屋のみんなして信兵衛さんのお顔にスミを塗るという趣向も、お正月で羽付きで負けたりすると顔にスミ塗りされるという古くからのツミのないバツゲームのような古典中の古典という「笑い」のパターンなのである種の懐かしさを感じる、古き良き時代のノスタルジー漂う「大衆喜劇」の味わいがあります。
ご自身のデビュー当時の曲を、「のんびりしたおおらかな」時代ならではの曲だとよくおっしゃっていますが、「いろは長屋の用心棒」も同じように「のんびりしたおおらかな」時代の喜劇を思い出させてくれるようです。
もちろん、面白いだけではなく、適度の力の抜けた?流れるような優美な殺陣の様式美もきっちり盛り込まれていて、数多くのシリアスな時代物の舞台を重ねてこられた年輪がモノを言っているのは当然のことです。
舞台人の究極の芸として「軽み」~俳句で云えば「侘び」~という境地が言われますが、今回のお芝居には舟木さんの舞台人としての「軽み」の色合いが感じられて六月の演舞場の「花の生涯」とは、またひと味違った世界が楽しめます。重厚な世界、軽妙な世界・・・舟木さんの引き出しからは次から次へと、どんな色の布も出てくるようで、まるでマジシャンですね(笑)
また、今回の思いっきり楽しい舞台を盛り上げている「音楽」も本当に懐かしい音色です。
助演の役者さん方について少し・・・
葉山葉子さん・・・この方の気品ある佇まいで、大ボケの役どころをなさるのが最高に私好みです。六月の演舞場で「村山たか女」を演じられたのは記憶に新しいのですが、今回の姉上・芳江役は葉山さんの実像っぽく感じられて、とても楽しませていただいています。
長谷川稀世さん・・・「小股の切れ上がった女」という言葉がぴったりの女優さん。その稀世さんの持ち味が存分に生かされていて、ハマり役です。気が強いけど情が深い、長屋の住人にとって頼れる姐さんの貫録十分です。
大門正明さん・・・いい味出されてて驚きました。昔、テレビによく出演されてましたよね。当時のイメージがあったので、ずいぶん「大きく」なっていらして(笑)一回目は、最後の方までどなたかわかりませんでした。葉山さんとのラブ&ラブの場面がなんとも可愛らしくて、あの大きな身体が小さくみえるほどキュートでした。
丹羽貞仁さん・・・こんなベテランの芸達者の役者さんたちも素晴らしかったのですが、今回の私的なMVP(=最優秀選手)は、この方。舟木さんの舞台ではお馴染みの役者さんだそうですが、私は、大川橋蔵さんの御子息であることしか存知上げずにいましたから、初めてその役者ぶりを拝見して、役どころが役どころだけに本当に驚きました。これほど、身体的に喜劇の匂いを身につけていらっしゃるとは想像できませんでした。正直、言うところの「御曹司」という先入観があったこともあるでしょう。見事に裏切られました(笑)だって、だまっていてもどこか可笑しいんです(笑)男前なのに可笑しい・・・これって持って生まれた才能だと思います。お父上は天下の二枚目ですが、息子さんはご自身の個性をきっちりお持ちだと感じました。お父上のお名前とは関係なく「我が道」を御精進なさると、益々、良い役者さんになられるだろうと感じました。嫌味がなくて、おしょうゆ顔だからこの点も私好みといえます(笑)
長谷川かずきさん・・・同じく、若手の女優さん。この方も、六月に初めて演舞場で井伊直弼の奥方を演じられたのを拝見したのが初めてです。こちらも天下の二枚目の長谷川一夫さんのお孫さんですから、「御曹司」と似たようなイメージだったのですが、今回の「おぶんちゃん」は、大役だったと思いますが、立派に演じていらして場面、場面で彼女の存在が大きなポイントを上げていると感じました。本来の原作では「おぶんちゃん」は信兵衛の嫁になるのですから、信兵衛から大きな信頼を寄せられる魅力・・賢さ、優しさ、強さなど・・を備えた女性像であることが要求されると思います。キャスティングでかずきさんをおぶんちゃんと決めたのが舟木さんご自身なのかは私の知るところではありませんが、ある意味大抜擢じゃないかと思います。もし、そうだとすれば、見事にその大役を果たしていらっしゃると感服しました。
舟木さんが教えを乞うた大先輩の息子さんやお孫さんが、舟木さんとの舞台で、さらに大きく成長されていかれるのは、本当に素晴らしく、また舟木さんのファンにとっては嬉しいものですね。
「一子相伝」の伝統芸能の世界とは、違いますが、その精神は軌を一にするもので、ナマの舞台に勝負を賭ける芸能の世界に生きる方たちが大好きな私としては、舟木さんのこういった姿勢が本当に嬉しく頼もしいものに感じられます。
「一子相伝」の伝統芸能の世界とは、違いますが、その精神は軌を一にするもので、ナマの舞台に勝負を賭ける芸能の世界に生きる方たちが大好きな私としては、舟木さんのこういった姿勢が本当に嬉しく頼もしいものに感じられます。
あと、公演期間は半分となりましたが、何回か観ていると飽きてきそうなのに、なぜだか逆にどんどん面白くなってきてるのも不思議と言えば不思議です。こういうところが、生の舞台演劇の面白いところなんですね。