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お正月の三が日も、本日まで。天候にも恵まれ温かなお正月となりました。
すっかり、遅くなって、なんと年をまたいでの連載となってしまい申し訳ありません。
下記の連載の続きで、今回で完結いたします。
舟木君と私の七年間 丘灯至夫 舟木一夫大全集 寄稿文(1970年10月)その1
舟木君と私の七年間 丘灯至夫 舟木一夫大全集 寄稿文(1970年10月)その2
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舟木君と私の七年間 丘灯至夫 舟木一夫大全集 寄稿文(1970年10月)その3(完結)
日本コロムビア創立60周年記念 舟木一夫大全集 別冊解説書
舟木君と私の七年間 私の覚え書メモから 丘灯至夫
この年の暮には、西條八十作詩の名作「王将」の作曲者である船村徹氏と、私は舟木君の歌では、はじめて一緒に組んで仕事をした。翌四十一年早々、正月新譜として売り出された「東京百年」である。明治維新から数えて、百年になるというのでこしらえた。歌詩の中に、「戦争ばかりは、まっぴらごめん…、という一節があり、左翼の機関誌で「この歌は反戦歌のため、NHKからボイコットされた…。」などと書かれたが、ボイコットされたなどということはない。平和を願う気持ちは、戦争を経験した者、しない者にかかわらず、日本人全部の共通した願いだろうと信じる。
舟木君は、歌を歌うだけではない。映画にテレビドラマに、そして舞台劇にと、幅広い活躍をみせ、芸域を年ごとにひろげてゆく。しかし、あくまでも本質は歌手である。息の長い歌手として、羽ばたいてゆくことが、私はもとより、舟木君を愛するファンの願いでもあろう。
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四十一年、三月には、NTVドラマの主題歌「山のかなたに」を歌った。最初は主題歌を歌うだけという予定だったが、ドラマに主演した松原智恵子君が、同郷というよしみで、ラストに三回ほど出演した。同時に「哀愁の夜」「友を送る歌」などの映画に出演し、それぞれ同名の映画主題歌を世に出した。
この年春には、NHKの大河ドラマ「源義経」に平敦盛の役で出演し、悲劇の若武者を好演した。「敦盛を死なせないで…」というファンの投書が、NHKに殺到したというエピソードを残したが、「敦盛哀歌」はその折につくられた歌である。
「雨の中に消えて」は、やはりこの年、「山のかなたに」にひきつづいて放映された。NTVのドラマの主題歌である。どちらも石坂洋次郎の青春ものだが、この石坂作品は、太平洋戦争前後にも、なんどか映画化されている。面白いことに、その映画化の折の主題歌は、いずれも、私の恩師の西條八十先生が作詩し、テレビドラマとしての主題歌は、いずれも弟子の私が作詩した。因縁ばなしめくけれど、不思議なめぐり合わせのようなものを感じるのである。
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さて、四十一年八月には、西條八十作詩、市川昭介作曲で、日活映画の主題歌「絶唱」が発売になった。舟木君は、この映画に出演のために、丸坊主になるという意気込みを見せたもので、共演の和泉雅子君と熱演したが、この歌もまた、”熱唱”と呼ぶにふさわしい仕上がりとなった。曲が先に作られたもので、作詩した西條先生は、ギターで録音したテープのメロディーを、何度も聞きながら、言葉をはめこんでいったものである。この「絶唱」の歌で、舟木君は、十二月にレコード大賞の歌唱賞を受賞した。記念すべき作品となったわけである。
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四十二年には、「星の広場に集まれ!」や「一心太助江戸っ子祭り」などにつづき、私の作品でも「夏子の季節」とか、NTVドラマの主題歌「あいつと私」など、舟木君の歌としては、珍しく明るい歌がつづいた。しかし、この年、舟木君として思い出に残るのは、心のステレオ、LP「その人は昔」を作り、新境地を開拓したことであろう。全部、船村徹氏の作曲だが、この「その人は昔」は、そのまま、東京映画で映画化され、内藤洋子君が共演した。「じっとしてると恋しい」「心こめて愛する人へ」の二曲は、このLP「その人は昔」に吹き込まれた歌の中から、シングルカットされて発売されたものである。
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さて、八月には、日活映画「夕笛」の主題歌を歌い、舟木君はこの映画で、松原智恵子君と共演している。
この「夕笛」は、西條八十作詩、船村徹作曲だが、発売後に「あれは盗作じゃないか」という話が出た。つまり、この詩は、先年、亡くなった詩人三木露風の「ふるさとの」という詩を改作したものではないか…というのが、盗作呼ばわりの理由だった。この噂を聞いて、西條先生は、はっきりと、こう言明した。
「あの歌は、たしかに、三木君の”ふるさとの”を念頭に置いて書いたものだよ。ということは、三木君が元気だったころ、僕は、三木君に、あの”ふるさとの”をぜひ、歌謡曲にしたいものだ、といったら、三木君が、君はフランスのポピュラー・ソングに、作り変えてくれるだろう。ぜひ、そうしてくれたまえ…といってくれた。だから、その約束を”夕笛”で果たした。三木君の”ふるさとの”は純粋な詩。僕の”夕笛”は歌謡曲、その発想は同じでも、出来あがったものは、まったく異質のものなんだよ…。」と。
おりから、この「夕笛」は、レコード大賞の有力な候補にのぼっていた。この候補から外そうという悪質な妨害が、この盗作呼ばわりのモトであった、と分かったのは、しばらくのちになってからのことである。
「あの歌は、たしかに、三木君の”ふるさとの”を念頭に置いて書いたものだよ。ということは、三木君が元気だったころ、僕は、三木君に、あの”ふるさとの”をぜひ、歌謡曲にしたいものだ、といったら、三木君が、君はフランスのポピュラー・ソングに、作り変えてくれるだろう。ぜひ、そうしてくれたまえ…といってくれた。だから、その約束を”夕笛”で果たした。三木君の”ふるさとの”は純粋な詩。僕の”夕笛”は歌謡曲、その発想は同じでも、出来あがったものは、まったく異質のものなんだよ…。」と。
おりから、この「夕笛」は、レコード大賞の有力な候補にのぼっていた。この候補から外そうという悪質な妨害が、この盗作呼ばわりのモトであった、と分かったのは、しばらくのちになってからのことである。
明けて、四十三年三月に、日活映画の主題歌「残雪」が世に出た。この映画で、舟木君は松原智恵子君と共演したが、この歌の作詩者、高峰雄作は、舟木一夫君その人である。舟木君がみずから作詩した珍しい歌だが、どうして、スターの手なぐさみなどという中途半端なものではない。商品としても、なかなか価値のある作品だったが、舟木君はそののち、作詩からはスッパリと手をひいてしまった。このあたりも、なかなか賢明な舟木君である。
この年、四月一日、舟木君は、それまでのプロダクション生活から独立、舟木音楽事務所を創立し、社長業も兼務することになった。
私などは、歌手は、歌と演技に打ち込むべきであって、社長という経営者の立場に立つべきものではない。という考えをいまだに棄てることができないでいるが、とにかく舟木君はまだ若い。若いうちに大きな試練と闘うことも、また良いことだろう。大いにやり抜いてみることだと、私はこの青年社長の動向を見守ってゆくつもりでいる。
四十四年の正月には「青春の鐘」が発売された。この歌は、栗山ディレクターのあとをうけて、舟木君を担当することになった金井謙一郎ディレクターから、前年の暮近く、「しばらく、沈んだ歌が続いたので、この辺で明るい歌を書いてみてくれませんか。」と頼まれて、私が詩をまとめたもの。ところが、発売が正月を予定というで、ほとんど日数がない。「作曲は、誰にしましょうかね。」ということになって、私は、同郷の大先輩である、古関裕而氏の名をあげた。日数もないのに、果たして作曲ができるのかどうか…。いぶかる金井ディレクターをせき立てて、私は、深夜、世田谷の古関氏のお宅を訪ねた。古関氏は、私の詩をながめながら「……で、いつまでに作曲するの?」という。金井ディレクターが、一応、遠慮しているので、私が言った。「先生、今夜中に……。」古関氏と私は古いおつきあいだが、さすがに古関氏は、まじまじと私の顔を見、そしてにっこり笑った。「なんとか、やりましょう……か。」古関氏が応接間のハモンドオルガンを弾きながら、春らしい、この軽快で明るいメロディーを作りあげてくださったのは、それからわずか二時間後のことだった。「青春の鐘」は、こうして、かろうじて正月新譜のアナをあけることなく発売された。
舟木君は、二月にNTVドラマ「ドロボーイ」で、しゃれた役柄をこなし、つづいて松竹映画「永訣(わかれ)」に出演し、主題歌「永訣の詩」を歌い、九月には、洋風の美しい新居も完成して移り住み、同時に、私の作詩の「夕映えのふたり」を歌った。こうして、一歩一歩、着実な歩みを見せながら、昭和四十五年、舟木君はデビュー七年目の今年を迎えたのである。
青春ボーイ 「ワンダフルボーイ」/NTVドラマ「ドロボーイ」より
https://youtu.be/SHdYyDWfiAI
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恋だけが 「ワンダフルボーイ」/NTVドラマ「ドロボーイ」より
https://youtu.be/RwDcGMDoH50
https://youtu.be/RwDcGMDoH50
喜びもあり、苦しみも悩みもあった七年間。長いようで短かった七年間。いまでは、あれもこれも、また懐かしい思い出である。
今年の舟木君は、この八月に、明治座で「新吾十番勝負」を上演、葵新吾の役で颯爽たる美男剣士ぶりを見せ、満員の客を魅了した。このあたりで、また私も、新しい舟木君の歌をまとめてみようと、私なりに心楽しい苦吟をしている。
それにしても、舟木君は、両三度、はげしい仕事に疲れて、病気に倒れている。一度はハワイで、つぎは盛岡で、最近はこの六月、名古屋の御園座で、というぐあいだ。なんといっても身体が資本の舟木君である。なんとしても食物を、よく吸収できる身体になってほしいと願うのは、私だけではあるまい。舟木君がデビューした当時は、私が病気をしていた。そのとき、舟木君がくれた手紙を、こんどは私が、そのまま舟木君に届けたい。
舟木君、身体を完全に治すようにしてください。くれぐれも、完全に治して、大きな未来に、さらに羽ばたいてください……と。
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丘灯至夫生誕100年記念 舟木一夫 丘灯至夫を唄う
(発売予定日は2017年1月25日です。)
昭和33年「高校三年生」を始め、『青春歌謡』の大スターの舟木一夫の初期のヒット曲を多数作詩。
2017年、生誕100年を迎えた「丘灯至夫」と舟木一夫は、お互いのキャリアを語る上で、かかせない名コンビである。舟木一夫がシングル、アルバムでリリースしたオリジナル丘灯至夫作品:全48曲をCD3枚組、完全収録!
2017年、生誕100年を迎えた「丘灯至夫」と舟木一夫は、お互いのキャリアを語る上で、かかせない名コンビである。舟木一夫がシングル、アルバムでリリースしたオリジナル丘灯至夫作品:全48曲をCD3枚組、完全収録!
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今回の記念盤で初めてCDに収録された曲が、何曲かありますが、その中の一曲。
木枯紋次郎(1972年アルバム「渡世人 舟木一夫 三度笠を歌う」に収録)
https://youtu.be/jDnEqa4SzQY (kazuyanさんの動画です)
https://youtu.be/jDnEqa4SzQY (kazuyanさんの動画です)