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Channel: 舟木一夫の世界~れんげ草の咲くさんぽ径~
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『陽射し・旅人』あの頃の舟木さん・その13「初恋 舟木一夫抒情歌謡をうたう」再び(下)

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『陽射し・旅人』あの頃の舟木さん・その13「初恋 舟木一夫抒情歌謡をうたう」再び(上)のつづきです。
 
                CD復刻盤ジャケット (2003年7月発売)

イメージ 1
 
 
しれとこ旅情  作詩・作曲:森繁久弥
http://www.youtube.com/watch?v=suMtliYa-aU
 
イメージ 2しれとこの岬に はまなすの咲く頃
思い出しておくれ 俺たちのことを
飲んで騒いで 丘に登れば
はるかクナシリに 白夜は明ける
 
旅の情けか のむ程にさまよい
浜に出て見れば 月は照る波の上
今宵こそ君を 抱きしめんと
岩陰によれば ピリカが笑う
 
別れの日は来た ラウスの村にも
君は出て行く 峠を越えて
忘れちゃいやだよ 気まぐれ烏さん
私を泣かすな 白いかもめよ
 
 
山のけむり 作詩:大倉芳郎 作曲:八洲秀章
http://www.youtube.com/watch?v=VEixO-PY6vw

山の煙の ほのぼのと
たゆとう森よ あの道よ
幾年消えて 流れゆく
想い出の あゝ夢のひとすじ
遠くしずかに ゆれている
 
イメージ 4
谷の真清水 汲み合うて
ほゝえみ交わし 摘んだ花
山鳩の声 聴きながら
行きずりの あゝ君とともに
下りた峠の はろけさよ
 
山の煙の たそがれに
別れた人の うしろ影
あとふりかえり 手を振れば
うすれゆく あゝ淡い夕日が
染めた茜の なつかしく
 

あざみの歌  作詩:横井弘 作曲:八洲秀章
http://www.youtube.com/watch?v=PkI_iKZbt-Y
イメージ 5
山には山の 愁いあり
海には海の 悲しみや
ましてこゝろの 花ぞのに
咲きしあざみの 花ならば
 
高嶺の百合の それよりも
秘めたる夢を ひとすじに
くれない燃ゆる その姿
あざみに深き わが想い
 
いとしき花よ 汝はあざみ
こゝろの花よ 汝はあざみ
さだめの径は 涯てなくも
かおれよせめて わが胸に
 

花言葉の唄  作詩:西條八十 作曲:池田不二男
http://www.youtube.com/watch?v=gIfdCIiFfJM 
(この曲のみ、舟木さんの歌唱ではなく岡本敦郎さん歌唱です)
 
イメージ 6可愛い蕾よ きれいな夢よ
乙女ごころに よく似た花よ
咲けよ咲け咲け 朝露夜露
咲いたらあげましょ あの人に
 
風に笑うて 小雨に泣いて
なにを夢みる 朝花夜花
色は七色 想いは十色
咲いたらあげましょ あの人に
 
白い花なら 別れの涙
紅い花なら うれしい心
青い花なら 悲しい心
咲いたらあげましょ あの人に

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さくら貝の歌  作詩:土屋花情 作曲:八洲秀章
http://www.youtube.com/watch?v=_dkBSeOjVL8

イメージ 7美しき 桜貝一つ
去り行ける 君にささげん
この貝は 去年の浜辺に
われ一人 ひろいし貝よ
 
ほのぼのと うす紅染むるは
わが燃ゆる さみし血潮よ
はろばろと かよう香りは
君恋うる 胸のさざなみ
ああなれど 我が想いは儚く
うつし世の なぎさに果てぬ
 

 
チャペルの鐘 作詩:和田隆夫 作曲:八洲秀章
http://www.youtube.com/watch?v=YDhUF6J5-B8

イメージ 8なつかしの アカシアの小径は
白いチャペルに つづく径
若き愁い 胸に秘めて
アヴェ・マリア 夕陽に歌えば
白いチャペルの あゝ
白いチャペルの 鐘が鳴る
 
嫁ぎゆく あのひとと眺めた
白いチャペルの 丘の雲
あわき想い 風に流れ
アヴェ・マリア しずかに歌えば
白いチャペルの あゝ
白いチャペルの 鐘が鳴る
 
 
 
忘られぬ 思い出の小径よ
白いチャペルに つづく径
若きなやみ 星に告げて
アヴェ・マリア 泪に歌えば
白いチャペルの あゝ
白いチャペルの 鐘が鳴る
 
これらの抒情歌の系譜を、持ち歌として受け継いでいった男性のソロシンガーとしては、おそらく舟木さんは唯一無二の存在ではないかと思います。今さら、言うまでもなく「絶唱」、それに続く「夕笛」は西條八十の四行詩の世界が舟木一夫と言う素材によって「抒情歌謡の名曲」として完成されたものといえるでしょう。そして、さらに以下に掲げる曲もまた舟木さん独自の匂いと体温を纏った優れた「抒情歌謡」であると思いますので、ご紹介しておきます。

イメージ 10「あざみの歌」の作詩者である横井弘氏は、舟木さんの以下のオリジナル曲も作っていらっしゃいます。
 
「帰郷」 1972年7月発売
「白鳥」(A面:都井岬旅情)1973年1月発売
「サンチャゴの鐘」 1973年9月発売
「霧のわかれ」(未発表オリジナル)LP「限りない青春の季節」(10枚組)収録 1977年6月発売
 
いずれも「抒情歌」の香りを感じさせますが、中でも「白鳥」は「あざみの歌」で詠われた「愁い」や「人の
世の運命(さだめ)」の哀しみを詠ったものとして相似形を成しているように感じられます。

白鳥 作詩:横井弘 作曲:竹岡信幸
 
はてしなく 雪の舞い散る
湖に 浮かぶ白鳥
その鳥は 恋に疲れて
還らない 君の姿か
衿足も細く ああ哀しく
 
イメージ 3花かげに 君と築いた
ささやかな 愛の山小屋
人の世の つらい掟が
ここにまで あると知らずに
頬よせた日々の ああはかなさ
 
 
なにもかも みんな運命と
湖を 埋める粉雪
その雪に 独りたたずみ
口笛を そっと鳴らせば
白鳥の影も ああ泣いてる
 
 
横井 弘(よこい・ひろし、1926年(大正15年)10月12日- )
昭和期の作詞家。
1926年(大正15年)10月12日東京府東京市四谷区出身。
1946年(昭和21年)、上京すると共に、作詞家:藤浦洸に師事するようになる。
1949年(昭和24年)8月8日、日本放送協会のラジオ歌謡で放送された「あざみの歌」で作詞家デビュー。
同曲は1951年(昭和26年)8月、伊藤久男の歌唱でレコード発売され、大ヒットとなる。
1950年(昭和25年)、コロムビアの専属になる。1953年(昭和28年)、キングレコードに移籍する(1968年(昭和43年)にフリーとなる)。
1974年(昭和49年)、第16回日本レコード大賞第1回中山晋平・西條八十賞を受賞。
1992年(平成4年)、第34回日本レコード大賞功労賞受賞。

代表作
『心の窓にともし灯を』(昭和34年11月) 作曲:中田喜直、歌:ザ・ピーナッツ
『達者でナ』(昭和35年10月) 作曲:中野忠晴、歌:三橋美智也
『川は流れる』(昭和36年11月)作曲:桜田誠一、歌:仲宗根美樹
『下町の太陽』(昭和37年11月) 作曲:江口浩司、歌:倍賞千恵子
『さよならはダンスのあとに』(昭和40年4月) 作曲:小川寛興、歌:倍賞千恵子
 

さらに、横井弘氏が師事した藤浦洸氏も舟木さんのオリジナル曲「逢う瀬」の作詩をなさっています。
私は、初めてこの曲に出逢った時に歌詩の中の「宵待草」から当然のことのように「夢二」の世界を連想しました。背景も京都祇園界隈を舞台にしていて、夢二がしばらくの間、彦乃と暮らした高台寺門前にほど近く・・・藤浦洸氏は、夢二の「宵待草」をテーマに作詩なさったのだろうと思ったのです。
 
逢う瀬 作詩:藤浦洸 作曲:戸塚三博
(アルバム「友情/舟木一夫の新しい名刺」収録  1974年10月発売)
 
イメージ 9京は加茂川 たそがれに
誰を待つのか 川べりの
宵待草の 花ひとつ
君によく似た うつくしさ
 
けぶるむらさき 東山
鐘の音色に ゆれながら
ひとりさびしく 待ちわびる
君のすがたの いじらしさ
 
あいにゆこうか あうまいか
あわねばなおも かなしさを
耐えてたたずむ 横顔に
散るは祇園の ともしびか

 
 
藤浦 洸(ふじうら こう、1898年9月1日 - 1979年3月13日)
昭和時代の作詞家、詩人。現在の平戸市に生れる。同志社大学神学部に入学してほどなく中退、3年の放浪を経て慶應義塾大学文学部に入る。在学中は児童小説を書いたり、尾崎士郎らと共に雑誌「令女界」や「若草」に小女小説、音楽物語などを執筆していた。大学卒業後は、浅草オペラの俳優等を経て、1930年から、コロムビアレコード文芸部のエドワードの私設秘書となり、ジャズソングの訳詞などを手掛けていた。1937年、「別れのブルース」の大ヒットにより名声を得た。1938年にコロムビア・レコードに入社して同社専属の作詞家となり、「戦前戦後を通じて多数のヒット曲を世に送り出した。特に美空ひばりには「悲しき口笛」、「東京キッド」など初期楽曲を多く提供している。

竹久夢二といえば抒情詩人であり抒情画家としてもその名を日本近代文芸史の中にとどめています。
そして、夢二の死後、「宵待草」に二番の歌詩を加えたのが八十でした。それほど夢二と親しく作風としても近しい関係であった八十。抒情詩をめぐる鎖の連なりのゆく先に、舟木一夫という歌い手が存在したことはまぎれもなく、そういった意味でも、やはり舟木さんは、昭和歌謡のジャンルの中での「抒情歌謡」の中央に燦然と輝きを放っているのだと思います。最後に、このCD復刻盤の解説の後半部分をご紹介して結びとします。
 
イメージ 11「初恋~舟木一夫 抒情歌謡を歌う」CD復刻盤 
解説(音楽評論家:池田憲一)
 
舟木一夫は、戦後の歌謡史を代表するひとりの歌手であり、その出発に「高校三年生」という青春歌謡をもちいわゆる”御三家”の一員として華やかな履歴を持っているが、その本質は、抒情歌謡にあると私はかねてからひそかに考えていた。「仲間たち」という初期の作品に接したとき、そこの溢れる青春への回顧が抒情としての美しさをもっているのを感じた。「絶唱」や「夕笛」などに、賞の対象というものとは違うこの人だけの世界を確実に知らされた。「雪のものがたり」のようなLPにも、抒情歌手としての本領が発揮されていた。どちらかといえば重く、暗いトーンの音質が、繊細なリリシズムとロマンチシズムを持っているためであろうか・・・この作品集も「初恋」を中心に、自己のベースをしっかりと守りながら、淡彩の絵画のようなほの暗い詩情をただよわせながら、耳なれた歌に新しい生命をよみがえらせている。おそらく、舟木一夫という歌手は、すぐれた抒情歌手としての位置を、歌謡史の中に占めることであろう。今後ともに長く・・・・・
 

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