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Channel: 舟木一夫の世界~れんげ草の咲くさんぽ径~
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アルバム こころのステレオ第2集「雪のものがたり」 その2

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アルバム   こころのステレオ第2集   雪のものがたり 
(1968年11月発売  第23回芸術祭参加)
 
作 西条八十  音楽 船村徹  脚色 二条冬至夫 
         歌唱 舟木一夫
助唱 大原ますみ 声 藤本譲 合唱 コロムビア合唱団
協力 長野県白馬村役場
 
 
イメージ 1その1からの続きです~
レコード盤の1面が「上」となっています。
その2では「上」の後半を掲載します。
 
http://www.youtube.com/watch?v=pkfUmRXxNB0
舟友さんによる動画でお楽しみ下さいね。
 
濃紺の部分は舟木さんの歌唱
ピンクは大原ますみさんの歌唱
紫はデュエット
青緑の部分は舟木さんの語り
赤の部分は大原ますみさんの語り
黒は藤本譲さんの語り
 
 
 
 
 
泣いちゃいけない 泣いたとて
この世のものは 消えるのよ
坊やの涙も お山の雪も
わすれな草の 水いろも
おねんね ねんね ねんねすりゃ
かわいい夢が 窓たたく
きれいな車に お花をつんで
お花の上には 鳥カゴつんで

        (作詩・西条八十)
 
イメージ 2花をあげるわ!
君は誰?
(この山頂を誰が最初に踏んだかと言う
古い記録は どこにもまったくみあたらない・・・)

ウウン そんなにみつめたら 花がかわいそうだわ
何んと言う花だい!

(加賀の国のある姫は 黒ゆりを一目みたいと言って
死んだそうだが・・・)

この花はね チングルマと言って 雷鳥がお嫁さんをもらう
ときに 巣の中に一輪だけ入れておくの・・・

イメージ 8へエー めずらしい名前だなあ
チングルマって言うの・・・

(雪山に女がいると 昔から言われているのだが・・・)

雷鳥って とっても おしゃれなのよ 山に冬がきて 雪がふると
自分でも真っ白にお化粧するの・・・

(峠の湖には 黒い魚が住んでいると言う)

だけどねえ あの雷鳥君たち この間も ほら 向こうにみえる大池の
コマクサの中をすべったり転んだりして よちよち歩いてたのよ
とっても おかしかったわ! 
 
フーン 雷鳥に逢いたいなあ

イメージ 6そのほゝえみは ぬれている
そのほそい指が 冷たすぎる
水色の瞳が くもれば
なだれがくると言う
ぬれた黒髪に 北風が吹くと
山が泣くと言う
 
五竜岳の峯に お前はながいながい 雪の階段を作り

ひとつ ふたつ みっつ・・・
ゆっくりと 星の世界へ
のぼってゆくのだろうか
いつもカモシカを連れている
いつも風の声を 聞いている
いつも花の匂いのする
あの黒い髪
あの水色の瞳よ
 
それ カモシカ?
そう 私の弟なの! 二人っきりで
ずーっと昔 針の木峠の雪のお城で
生まれたんですって
えっ! 雪のお城だって!
そうよ 私の名前は沙美 弟はベタニヤって言うの・・・
フーン お父さんは・・・
知らない・・
お母さんは
わからないわ
ねえ あの峯から 向こうの谷へ このカモシカと一緒に
駆けてみない!
 
いいとも 行こう!
 
イメージ 5チングルマ チングルマ 
駒鳥が啼いていったよ
チングルマ チングルマ
峰から 峰へ
チングルマ チングルマ
花が咲いて 春が来て
チングルマ チングルマ
水も歌うよ

チングルマ チングルマ
白樺と ブナの小枝に
チングルマ チングルマ
子リスも 遊ぶ
チングルマ チングルマ
花びらを ふるわせて
チングルマ チングルマ
風も匂うよ
 
チングルマ チングルマ
あの星に 恋をしてるね
チングルマ チングルマ
夢みているね
チングルマ チングルマ
谷川の せせらぎも
チングルマ チングルマ
そっと聞こうよ
 
イメージ 7
遊びつかれたぼくと沙美は ベタニヤの角にすがって 
コマ草の 咲き乱れる 泉にたどりついた
花の香にむせながら 沙美は黙って 黒髪をすき
ベタニヤはその瞳をクリッとさせて
首をかしげながら
ぼくと沙美とを見比べていた
沙美のくちびるを ぼくが 欲しい!
と言ったら 沙美はいつのまにか 風にのって
逃げていった 
待っておくれよ! 沙美
早く 早く来て!
大丈夫よ ほら小川をとんで
あのお花畑までかけっこよ!
ほら ほら!
ちょっと私のそばに来てみて!
ふもとの里がみえるでしょう アンズの花がわた雲のように咲く中で
梓川のせせらぎが唄うころ ようやく信濃路に春の祭りがくるの!
昔からあの山をみて 雪どけの山肌に「種まき爺さん」があらわれると
「春がきたぞ 種まきをしよう」と言って種をまいたそうなの
流れる雲とお話している あの山をみて!
あれが種まき爺さんよ!
あれが私のお婆さんなの!
そして右の方に きょとんとしているのがつるさんで そのとなりは
恐い 恐い ししよ!
そして ほら 私とあなたは 今ましろいお馬にのっているのよ!
 
イメージ 3
うしろ立山 なだれはこわい
恐い こわいと ししさえ逃げる
種まき爺さん 種まきやめて
つるの一声  聞かんかい
うしろ立山 なだれはこわい
こわいばあさんの声がする

 
 
 
 
 
 
この作品は「作」が西条八十、「音楽」が船村徹となっていますが、「脚色」として二条冬至夫というお名前が裏表紙の見開きに記されています。明確に「作詩・西条八十」とそのお名前が付記されている部分は「その1」の画像で掲げた詩と「その2」の冒頭で記載している詩のみですので、この2つの詩歌から構想を広げた脚色の二条氏と作曲の船村徹氏が全体の構成をまとめられたのではないかという印象を受けました。もちろん「舟木一夫」という稀にみる逸材が、この作品のイメージを生みだす核になっていることは明白であり、舟木さん御自身の意見・意向も加味されて制作されたものであろうとも感じました。
 
歌唱の部分と語りの部分があるのですが、語り部分の幼さの残る若者らしい線の細さというか、か弱さがデビュー当時の舟木さんを思い出させて、好ましく感じられます。一方で歌唱については、変幻自在というか少し背伸びした感じの歌唱と、素直で伸びやかな歌唱が混在しています。
 
船村氏は、この作品の中で舟木さんに、実に様々なタイプの「メロディー」を提示されているように思います。「その1」の画像で掲げた「雪がふる 雪がふる この世の中の 悲しみを 苦しみを 埋めてしまえというように・・・」冒頭から「この世の悲しみや苦しみ」を重く、激しく吐き出すような「暗さの極み」のようなメロディーをぶつけてきています。「憂い」を通り越して「嘆き」となっているのを感じます。
 
主人公となる青年画家の「表現者としての生みの苦しみ」と「冬山の厳しさ」とをモチーフにして、精神的にも肉体的にも極限に追いつめられた青年に、甘く優しく手を差し伸べる天使を送り届けるかのような展開を期待させながら、媚薬の危うさを暗示させるなにものかの「声」を交差させて、聴く者を不安の中に陥れるような双方向からの周波を送って、徐々に「幻想の世界」へと誘っていきます。「雪女伝説」を現代に生きる青年画家の苦悩からの逃避と結びつけるストーリーを直截的でなく、西条八十氏の詩歌の世界を借りて構築していく手法が「芸術祭参加」と銘打った「歌謡組曲」として見事に成立していると感じました。
 
「その2」で、最初に掲げた「子守唄」を思わせる八十氏の詩と船村氏の調べ。詩の後ろ半分が舟木さんの歌唱です。ここがとってもいいと私は感じました。舟木さんらしい詩情に満ちた「歌声」になっています。
 
イメージ 4
おねんね ねんね ねんねすりゃ
かわいい夢が 窓たたく
きれいな車に お花をつんで
お花の上には 鳥カゴつんで
 
そして中盤の「チングルマ」を歌った歌も印象的で、この作品の「おへそ」にあたるものだと思います。自然の厳しさだけでなく自然の美しさを謳歌しているこの部分は全体に暗く悲しみに満ちたトーンのこの作品の中での光の部分であり救いのような役割を果たしていると感じます。ミュージカルの一場面のような華やかさがあって、舟木さんの大きく広がる可能性のカードがここでもきっちり示されています。
 
船村氏は、次に舟木さんに「新しい感覚の民謡調」のメロディーを提示しています。ここでも舟木さんは本来の真っすぐで伸びやかな歌声を聴かせてくれます。日本的なる調べが好きな私としては「名調子!」と思わず声かけしたくなります。
 
うしろ立山 なだれはこわい
恐い こわいと ししさえ逃げる
種まき爺さん 種まきやめて
つるの一声  聞かんかい
うしろ立山 なだれはこわい
こわいばあさんの声がする
 
(その3へつづく)

        
 

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