お盆も過ぎたというのに毎日、蒸し暑い日が続いています。でも、わが家の小さな畑にも、赤トンボが、やってきはじめて、これから、秋の気配が、少しずつ感じられるようになるのかな・・・
さて、今回ご紹介する曲で、きっと舟木さんが、秋を運んできてくださいますよ。
1曲目は、ズバリ!日本の名曲「赤とんぼ」
赤とんぼ 作詩:三木露風 作曲:山田耕筰
(1968年6月 アルバム「ひとりぽっち2集~舟木一夫の思い出の歌」収録)
http://www.youtube.com/watch?v=AQYoUSXgFno&feature=youtu.be
夕焼け小焼の
赤とんぼ
負われて見たのは、
いつの日か
赤とんぼ
負われて見たのは、
いつの日か
山の畑の
桑の実を
小籠に摘んだは
まぼろしか
桑の実を
小籠に摘んだは
まぼろしか
十五で姐やは
嫁に行き
お里のたよりも
絶えはてた
嫁に行き
お里のたよりも
絶えはてた
夕焼け小焼の
赤とんぼ
とまっているよ
竿の先
赤とんぼ
とまっているよ
竿の先
以下は、露風が、自作の詩「赤とんぼ」を創った時のことなど、その作品について書いたものです。
作品の生まれた背景などがわかると、また聴き方も変わってきますね。
赤とんぼのこと 三木露風
とんぼが飛ぶ頃になると、時は暑くはなく寒くはなく、よい気候となるのである。頭が大きいのが、その特色である。群れているとか、たびたび見るとかで、わりあいによく印象を受ける虫である。他のもによってよりも、とんぼを思うて、その頃を、考えたりする。私が作った童謡に「赤とんぼ」と題する作がある。次に挙げる童謡である。
これは、私の小さい時のおもいでである。「赤とんぼ」を、作ったのは大正十年で、處は、北海道函館附近のトラピスト修道院に於いてであった。或日午後四時頃に、窓の外を見て、ふと眼についたのは、赤とんぼであった。静かな空気と光の中に、竿の先に、じっととまっているのであった。それが、かなり長い間、飛び去ろうとしない。私は、それを見ていた。後に、「赤とんぼ」を作ったのである。関係のある『樫の實』に発表した。
家で頼んだ子守娘がいた。その娘が、私を負うていた。西の山の上に、夕焼していた。草の廣場に、赤とんぼが飛んでいた。それを負われてゐる私は見た。そのことをおぼえている。北海道で、赤とんぼを見て、思いだしたことである。
大分大きくなったので、子守娘は、里へ歸った。ちらと聞いたのは、嫁に行ったということである。山の畑というのは、私の家の北の方の畑である。
故郷で見た赤とんぼに就いて云うと、あれから何年もたって、小学校へ行くようになり、通学したが、尋常小学校への道では見なかったが、
私が今住んでいる處へも、その時になると、どこからか、毎日赤とんぼが、庭え飛んでくるのである。
とんぼは前段に書いた如く、頭が大きいのが、特色ではあるが、そのほか精巧である。長身にて、四枚の羽、六本の足、そうして、その羽は透いている。
とんぼは前段に書いた如く、頭が大きいのが、特色ではあるが、そのほか精巧である。長身にて、四枚の羽、六本の足、そうして、その羽は透いている。
飄々として、處定めず飛んでいる虫である。
2曲目は、「赤とんぼの唄は聞こえない」です。これは、kazuyanさんにリクエストさせていただき、つい昨晩、素敵な動画を完成させていただきました。できたてのホヤホヤ動画ですよ。
kazuyanさん、今回も、素晴らしい動画作品をありがとうございました。
舟木さんのデビュー15年目前後には、たくさんのオリジナル曲を発表なさっていますが、その中でも、軽快なカントリーポップスといったタッチの「赤とんぼの唄は聞こえない」は、メロディーはライトなのに、詩は
ちょっとセンチメンタルな香りがして、そのズレが新鮮さを感じさせます。当時、流行歌のセンターに躍り出てきていたニューミュージック系というところでしょうか。
ちょっとセンチメンタルな香りがして、そのズレが新鮮さを感じさせます。当時、流行歌のセンターに躍り出てきていたニューミュージック系というところでしょうか。
故郷を離れて、都会に暮らし、賑やかで明るいはずだった都会の空の暗さも冷たさも身に沁みてわかってきた頃なのでしょう。青年が故郷に寄せる想いを「赤とんぼ」の唄に託して吐露するような切なさが迫ってきます。
その故郷の風景の中に、トンボを追いかけている少年時代の舟木さんの姿がオーバーラップしてくるような気がしますね。この頃の舟木さんの歌声は、明るく爽やかで力強いのですが、歌詩の中にもあるようになぜだか「淋しい辛いやるせない」という感覚に胸がキュッとしめつけられます。
赤とんぼの唄は聞こえない 作詩:山田孝雄 作曲:中原華道
(1977年2月 アルバム「一葉舟」舟木一夫77オリジナル[Ⅰ]収録)
http://www.youtube.com/watch?v=cCLYNqsGoyU&feature=youtu.be
故郷は悲しげに
揺れながら遠去かる
薄紅色の夕焼けに
サヨナラだけが溶けて行きます
あなたと唄った
あの赤とんぼの唄は
もう明日から唄えない
あの日から冬いくつ
届かない恋いくつ
淋しい辛いやるせない
都会の空は暗く冷たい
あなたと唄った
あの赤とんぼの唄は
もう何処からも聞こえない
届かない恋いくつ
淋しい辛いやるせない
都会の空は暗く冷たい
あなたと唄った
あの赤とんぼの唄は
もう何処からも聞こえない
遥かなる故郷よ
青空よ想い出よ
あの人元気どうしてる
帰ってみたい帰れない
あなたと唄った
あの赤とんぼの唄は
もう何処からも聞こえない
青空よ想い出よ
あの人元気どうしてる
帰ってみたい帰れない
あなたと唄った
あの赤とんぼの唄は
もう何処からも聞こえない