町内の神社の境内にアイリスが咲き始めています。
春が日一日ごとに深まってきていますね。
あっという間に日が経って、今日は東京メルパルクでラヴコン開催ですね。
4日前の大阪でのステージの模様をご報告します。
4月23日 大阪メルパルクホール 後援会発足55周年ラヴリー・コンサート 15時
唄い直してみたい和物(本物だった)の世界
舟木さんのトーク部分はピンク文字です。
聞違い、モレ、いっぱいあると思いますがザックリとですのでご容赦を…
開幕前のプレゼントタイムの幕前トーク
黒のロング丈のオーバー・シャツにジーンズ、運動靴。
2、3日前に気管支炎になって…暑くなったんでクーラー入れたからでしょう。咳っていうのは風速で言うと100m前後の力が加わるから喉がこすれるそうです。~とちょっといつもよりしわがれ声の舟木さん~咳が続くと体力が消耗しますね。クーラーがきいてくると夏風邪に気をつけないと…。それと足もとも気をつけないとアブナイ。まぁ、男の子は高い靴ははかないから助かってる。今年は、後援会の55周年になった。そういうだけで平均年令がわかる(笑)前の方のお客さんが「汚ねぇ靴だなぁ」と思ってらっしゃると…(笑)例によってピーちゃんが緞帳の向こうでひとりで働いてます~いつものことですが、プレゼントタイムには必ずピアノのBGMが流れてます。ピーたけさんのピアノはホントにステキですね。
opening
白地に茶系(淡いグレー?)の織り柄の大島に見えましたが…
~三尺もの
旅姿三人男 作詩:宮本旅人 作曲:鈴木哲夫
清水港の名物は~
*1972年11月 アルバム「渡世人/舟木一夫 三度笠を歌う」収録
去年ぐらいから、あらためて色んな歌を今のフナキカズオでお聞かせしてます。音源を残しておきたいというのも…
今日は和物が本物だった時代の歌を…。映画なんかのロケでも山、道路、田んぼ…建物とか電線とかが映り込むので、いつからかロングで引けなくなっちゃって和物の本物がなくなった。映画の世界からだとどうしても三尺ものということで…5つばかりつなげてみましょう。
旅笠道中(東海林太郎)藤田まさと:作詩 大村能章:作曲
夜が冷たい 心が寒い~
妻恋道中 作詩:藤田 まさと、作曲:阿部 武雄
好いた女房に三下り半を~
旅笠道中(三波春夫)作詩:藤田まさと 作曲:春川一夫
春は世に出る 草木もあるに~
おしどり道中 作詩:藤田まさと 作曲:阿部武雄
堅気育ちも重なる旅に~
*1971年 「コロムビア演歌大行進(第一集)流し唄特集」収録
?とばしたかな…もう一回やろう!
2回目は成功!歌い終わってからこぼれんばかりのあの舟木スマイルでニコッ!可愛すぎです(笑)
雪の渡り鳥 作詩:清水みのる 作曲:陸奥 明
合羽からげて 三度笠~
またまちがったゾ!…後ろを振り向いてバンドの方たちに、ハイ、どうぞ!と2曲を最初から歌い直してくださってトクした気分でした(笑)
これは並べてお聞かせするのはなぜかというと、リズムもメロディーも重なってひとつになってくる…全部で一曲になるんですね。
さっきなんで間違ったかというと、ツーコーラス目にスリーコーラスの歌詩を歌ってしまって、終わりになったから(笑)
私には、この5曲の三尺もののイントロがホントに全部同じに聞こえました(笑)舟木さんはそれがお仕事とはいえ、よく聞き分けられるものだと…さ~すが!
御園座でやるお芝居は一匹狼じゃなく、一家のお話なんで歌にはなりにくい…
この次は「雪之丞変化」ですが、これは東宝で1本、松竹で1本、大映で1本、東映では3本撮ってる。東映の3本は、東千代之介さん、ひばりさん、大川先輩。
~雪之丞変化より
むらさき小唄 作詩:佐藤惣之助 作曲:阿部武雄
ながす涙がお芝居ならば~
1971年 「コロムビア演歌大行進(第一集)流し唄特集」収録
小判鮫の唄 作詩:高橋掬太郎 作曲:大村能章
かけた情が いつわりならば~
江戸の闇太郎 作詩:西條八十 作曲:古賀政男
月に一声 ちょいとほととぎす~
これほどひとつのテーマで名曲ぞろいというのも珍しい。作詩は藤田まさとさん。一方の巨匠であるのは間違いない。次は都々逸、端唄から延びてきた江戸っ子の粋、色っぽさを根っ子にした歌を2つ、つなげてみます。
大江戸出世小唄 作詩:藤田まさと 作曲:杵屋正一郎
土手の柳は 風まかせ~
白鷺三味線 作詩:西條八十 作曲:上原げんと
白鷺は 小首かしげて 水の中~
歌い終わって舟木さんがマイクを置くと暗転。下手のソデに消えると同時にジャズ風のアレンジのインストゥルメンタル「お富さん」が流れる。ピアノ、サックス、ギターにスポットライト。
しばらくすると、着物を着換えた舟木さんが再び下手から登場。
白地で。ごく細かくて黒っぽい小紋柄ようで素材は縮緬のような光沢のある感じ
~歌舞伎演目より
お富さん 作詩:山崎正 作曲:渡久地政信
粋(いき)な黒塀(くろべい) 見越しの松に~
歌いながら登場した舟木さん。歌い終わってから後半に入る前のレクチャー。
「お富さん」は歌舞伎「与話情浮名横櫛」をテーマにした歌。歌舞伎をテーマにした歌はたくさんあるんですけどいい歌は少ない。ストーリーに引っ張られるんでしょうね。ここでは3つつなげてみます。
弁天小僧 作詩:佐伯孝夫 作曲:吉田正
牡丹の様なお嬢さんシッポ出すぜと浜松屋~
お嬢吉三 作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田正
月も朧に 白魚舟の篝も霞む 春の空~
野崎小唄 作詩:今中楓渓 作曲:大村能章
野崎参りは 屋形船でまいろ~
「野崎小唄」…お染久松は最近はあまりかからないですが、「三人吉三」は松也くんも出てました。七之助さんのお嬢吉三、松也くんがお坊吉三、勘九郎さんが和尚吉三。売り出し中の花形がやるお芝居。
ここで三味線の豊藤美さん、豊藤香さんの紹介。
今回は23曲中の17曲に三味線が入ってる。
今度は歌舞伎と大衆演劇の中間にある商業演劇~新派、新国劇~から。
新国劇は沢田正二郎が創始者、中耳炎で亡くなったんですが、そんなこともあるのか…と。
新国劇は、島田(正吾)先生、辰巳(柳太郎)先生の対照的なのが良かったんでしょう。
*ちなみに島田正吾さんは映画「夕笛」で若菜の父親役をなさってましたね。
辰巳先生が主役の男っぽいお芝居から3つ
~新国劇より
人生劇場 作詩:佐藤惣之助 作曲:古賀政男
やると思えば どこまでやるさ~
無法松の一生 作詩:吉野夫二郎 作曲:古賀政男
小倉生まれで 玄海育ち口も荒いが 気も荒い~
王将 作詩:西條八十 作曲:船村徹
吹けば飛ぶよな 将棋の駒に~
「王将」なんてのは、もうちょっと年とったらやってみたい。桂春団治とかも…関西のお芝居ですから。…いきなり「アカン!~何いうとんねん!~イテもうたろか!」と関西弁を連発する舟木さん(笑)
次に出てくるのが新派の世界。新派は、初めは女性の主役は女形でやってた。喜多村緑郎さん。あとになって初代八重子さん、今の八重子姉と…
新派の世界、つづけていきます。
~新派より 「十三夜」の舞台初代水谷八重子
十三夜 作詩:石松秋二 作曲:長津義司
河岸の柳の行きずりに~
すみだ川 作詩:佐藤惣之助 作曲:山田栄一
銀杏がえしに黒じゅすかけて~
明治一代女 作詩:藤田まさと 作曲:大村能章
浮いた浮いたと 浜町河岸に~
湯島の白梅 作詩:佐伯孝夫 作曲:清水保雄
湯島通れば思い出すお蔦 主税の心意気~
encore
英もよう 作詩・作曲:舟木一夫
二代目英太郎さん
白いうなじに ふたすじみすじ
映える黒髪 濡れる指
ひびく柝(き)の音にいのちをのせて
廻る舞台に 咲かせる華は
意地も哀しい 女形
役者ぐらしを ふとふりむけば
眉もはかない 柳腰
好きで重ねた苦労のかげに
散ったつぼみの 夢抱きしめて
かざす 新派の舞扇
泣いておどけて 芝居がはねて
流す白粉(おしろい) にじむ紅
足袋の小鉤(こはぜ)に涙を留めて
薄い灯りの楽屋を出れば
湯島見るよな おぼろ月
今回のパンフレットにも書いていらっしゃって、ステージでもおっしゃっていた「唄い直してみたい和物」という言葉。もう今となっては生まれ得ない世界を、いくつかのジャンルごとに構成して、しかもとっても分かり易いレクチャー付きで届けてくださった舟木さん。 「唄い直してみたい」側の舟木さん。そして「聴き直してみたい」側の私たち同世代があってこそ成立するステージそのものという気がします。
「日本の名曲たち」…ともすればイメージとしては歌曲とか、唱歌とかに小さくまとまった印象になりがちなこの言葉の間口が、舟木さんのステージで無限大に広がっていく可能性をあらためて感じた時間でした。
三尺もの…これはいわゆるヤクザの中でも一家に属せず旅から旅へと流れていく渡世人(一匹狼)が主人公で、次郎長一家に代表される親分・子分の関係すら持たない完全アウトローだからこそ深い闇を抱えて生きる人間のドラマチックな世界が、なぜかカッコイイとも感じられます。これって妙な心理ですが、フィクション(虚構)だと受け容れられるのですから不思議です(笑)
都々逸、端唄から派生してきたような江戸の粋も、ちょっとナナメはすかいの物言いが垢ぬけていてカッコイイんですね。私がチョー好きな世界です。都々逸も端唄もCD集持ってます(笑)
そして歌舞伎なんて、四十過ぎあたりからもう大大好きになりました。子どもの頃は知らずに聴いて歌ったりしてた「お富さん」「弁天小僧」「野崎小唄」が、歌舞伎や文楽などのテーマだったワケです。歌舞伎のセリフなんて七五調でとってもリズミカル。歌舞伎の人気演目のセリフ集のCDも持ってます(爆笑)役者さんによって多少の言い方に違いがあって、それもまた醍醐味。
新国劇や新派の舞台も私が子どもの頃はTV中継が頻繁にあったので馴染み深いお芝居です。原作は長谷川伸さんだったり、泉鏡花だったり…というのも大人になってからわかったこと。講談や浪曲は、耳になじみがあるサワリ部分もあってこれはライブで接するとさらにテンションあがります。
舟木一夫、イコール「高校三年生」、あるいは「抒情歌」…そこを、さらに飛び越えて楽しめるのが、後援会主催の「ラヴコン」「ふれこん」であることを、つい6年前に舟木さんと出逢い直せたことで気づきました。個人的な想いで申し訳ないですが、舟木一夫というステージ・シンガーを構成している要素には私個人の好み・嗜好がピタッ!と詰まっていてジグゾーパズルみたいにこの上なく心地よくスッキリとハマるんですね(笑) でも、単に歌の嗜好の好みというだけでは、ハマれません。声ですね。舟木さんのあの声でなくちゃ、私のイメージの中にある世界は再現できないワケです。ただ、ただ私にとって、素晴らしくありがたい歌い手さん。としか言いようがない。心からの賞賛と感謝あるのみです。