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Channel: 舟木一夫の世界~れんげ草の咲くさんぽ径~
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二十代の舟木さんの舞台公演の足跡をたどる~1966年新歌舞伎座篇(下)

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大阪新歌舞伎座特別公演  1966年10月1日~28日 (初座長公演)
 (15日より昼夜演目入れ替え)
イメージ 1 
資料は
「別冊・近代映画」1966年11月号・臨時増刊号
「舟木一夫 秋の特大号」です。
 
夜の部 5開演
 
1 黄金の卵  1幕8場
 
2 若君風流~松平長七郎 2幕5場
作・演出:村上元三
 
謎の虚無僧~淀の渡し~ともる青い灯~唐人屋敷~翼があれば
 
松平長七郎長頼:舟木一夫
虚無僧一夢:近衛十四郎
一色七之助:岩井半四郎
紀州家息女由良姫:瀬戸よう子
お菊:御影京子
お金:葉山葉子
唐人朱水虎:沢村宗之助 ほか

イメージ 4若君風流  作詩:村上元三 作曲:不詳 編曲:佐伯亮
 
松はゆたかな お江戸の春を
すねて御身の おとしざし
三葉葵が 気にかかる
まかり通るぞ 若君風流
 
おおて下馬先 毛槍が揺れる
伸びたさかやき ふわりと風が
恋をささやく 伊達男
まかり通るぞ 若君風流

松平 長七郎(まつだいら ちょうしちろう、生没年不詳)は、江戸幕府の第3代将軍徳川家光の弟・徳川忠長の子とされる架空の人物。後に村上元三が長七郎を主人公とした歴史小説『松平長七郎旅日記』を発表して広く知られるようになり、1970年代末から1980年代にはテレビ時代劇『長七郎天下ご免!』『長七郎江戸日記』が作られている。ともに人気作品となり、後者はシリーズ化されている。このため松平長七郎の名は、現在となっては戦後の大衆文学やテレビドラマにおける貴種流離譚の物語を代表するキャラクターとして知られている。
 
では、長七郎とは、どのようなキャラクターとして描かれているか、近代映画に掲載の若き日の舟木さんが演じた「若君風流~松平長七郎」あらすじより一部抜粋しておきます。若き日の舟木さんの佇まいを想像しイメージ 5てお読みくださいね。

~謎の虚無僧より~
 
正保四年(1647)の秋のはじめ、京都東山、清水寺の舞台から参詣の男女がことごとく追い払われて、その後に二人の侍女を従えた紀伊大納言の妾腹の息女由良姫が姿をあらわした。美しいがすこぶる驕慢の性格で配下の役人たちも手を焼かされていた。「ここは通行の者が多く目ざわりになる。わたくしが清水寺に詣でること、所司代にはかねて申し達しているはずではないか」由良姫の目は回廊を渡ってくる三人の武士の姿をとらえた。一人は編笠をかぶり、他の二人は従者らしい。「このあたり、通行まかりならぬ。引き返せ!」たちまち三人の前後を囲む所司代の役人たちの中でたったひとり与力の大草藤馬だけが、この一行が松平長七郎と供の三宅宅兵衛、田村右平次であることを知っていた。「音に聞く紀州家のわがまま娘由良姫とはそこ許か」大草から事情を聞かされた長七郎が編笠をとって笑いながら云うと「わたくしも、あなた様のお噂、聞いておりまする。将軍家の甥御というご身分でありながらお役にもつかず風流に世の中を過ごしておられまイメージ 8すそうな」由良姫も負けてはいなかった。「はて、さて、これは手がつけられぬ」苦笑した長七郎はいきなり由良姫の手をとった。「なにをなさる」「立腹なさらずと、これへ出て都の景色をご覧なされ。このようにのどかな都の中を、庶民の足を留めるなどど、無風流なことを申されては、せっかくのその美しいご器量が損なわれまするぞ」
 
~淀の渡しより~

数日後、長七郎一行が姿を見せたのは、伏見口の淀の渡しだった。・・松平長七郎長頼。将軍家の弟に生まれた父が、謀反の志ありと見られて、上州高崎で自害して以来、母方の実家築地の織田家に身を寄せ、将軍家から下される三千石の捨扶持で気儘な毎日を送っている身の上である。柳生流は免許皆伝、学問風流の道にも造詣深く、これまでいく度となく大名に取り立てようとの話があったが、辞退しつづイメージ 9けてきた。
 
 
さる大身の旗本とだけで、身分を隠して東海道を西へ下る旅の途中だが、まれには疑惑を抱く者がないでもなかった。
 
 
~ともる青い灯より~
 
長七郎の一行が、長崎船大工町の西国屋に食客をきめこんで、はや十日あまりの日が流れている。「ご前様のお力を拝借することがあるやも知れませぬ」伏見を出立する朝、松右衛門がいった謎めいた言葉のイメージ 10意味がようやく長七郎にもわかりかけてきた。西国屋にはお金(本名を紅金)、お蘭(本名を愛蘭)という姉妹が身を寄せていた。二人は十数年前、日本人を母に、明国人を父に持つ国姓爺(こくせんや)の娘たちである。松右衛門の望みはこの姉妹に力を貸して台湾で第二の国姓爺を盛り立てることであった。長七郎はそれを見抜いていた「そのほうが今日まで蓄えた財宝はオランダ人、それに唐人を相手に得たものであろう」松右衛門は将軍を叔父に持つ長七郎を利用しようとしていたのだ。
 
注:この時の舞台は原作にもある国姓爺鄭成功への軍資金を集める謎の一味と戦う長七郎の活躍を描いたもの。亡き父の名を汚す奴らを許しておけぬと勇躍立ち上がる長七郎ですが、事件の背後には紀伊徳川家を巻き込み、海をも越える謎と陰謀が・・やがて事件は反清復明の軍資金を巡っての攻防戦に発展、勇躍長七郎一党は、謎を追って九州に向かう…というストーリーのようです。舟木さんをイメージして村上氏が、あらたに書きおろしされたそうです。
 
~唐人屋敷より~
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その頃、唐人屋敷内の朱水虎の住居で、自ら国姓爺の二代目を志すと称している主の水虎と、片腕の張献忠が虚無僧一夢の話に耳を傾けていた。一夢は、父の甲田源兵衛が長七郎の父、駿河大納言忠長のた
めに手討ちになったと信じている。事実は逆だった。一夢の父が大公儀のさる重臣に頼まれて忠長を殺害しようとして見咎められ家中の者に斬られたのだ。忠長はことを明るみに出すまいとしたが公儀の重臣たちの策略で手討ちになったことにされ、そのために遺された家族たちも一家離散の悲惨な運命にあったのである。彼らはただ一夢の長七郎への憎しみを利用して陰謀の妨げとなる長七郎を一夢の手で殺害させようと利用しているのにすぎなかった。
 
イメージ 2注:
この後、舞台は、長七郎一行と朱水虎一味との死闘という激しい立ち回りの場面に・・
 
~翼があればより~
ほのぼのと夜が白みかけるころ、凄惨な死闘はようやく終わった。一色七之助の口から、父の死の真相を聞かされた一夢は、長七郎に向けてい刃を返して浪人たちの中に斬り込み、めざましく立ち働いた。
長七郎の柳生流水月のの鮮やかな剣さばきは、朱水虎を一刀のもとに斬り伏せた。「西国屋、わしは、そなたの船で、知らぬ異国とやらへ行こう。この日本に住んでいたとていつまでも将軍の甥という身分が妨げとなり、わしは自由が得られぬ」長七郎が云った。が、その時、唐人屋敷から深傷を負った七之助がよろめ出て、長七郎の前に手をついた。「ご前おん自ら、海外渡航の法度をお破りなされては天下に示しがつきませぬ。あなた様はどのようなことがあろうとも将軍家を叔父君に持たれるご身分にござります。天下万民のため誤った道をお示しなされてはなりませぬ。よくお考えのほどを・・」それが、
イメージ 3七之助の最期の言葉だった。「ご前さまが、そのようなご身イメージ 7分でなかったらなぁ」松右衛門が呻くように云った。「いずれに参っても、わしが自由気儘にふるまうのも狭い世界だけのこと。わしに翼があれば、あの高い空へ舞い上がり、海を越えて、まだ知らぬ異国へ飛んで行こうものを・・」長七郎は天を仰いだ。うるむ目に、空の青さがしみて、痛かった。
 
以下舞台のレポートより(文:和田竜夫)
 殺陣のうまさ! 若君風流
~気品のある松平長七郎は舟木くんの哀愁がにじんで適役。殺陣が巧いのにも驚かされた。とくに、みどころは序幕の美しい清水寺での由良姫との出逢い、淀の渡しの近衛さんとの対決。唐人屋敷の朱水虎との対決。ラストの唐人浜などで、舟木君の柳生流もスピードがあって印象に残る。場内で舟木弁当(250円)、舟木ずし(400円)が飛ぶように売れていたのも楽しいお土産ばなしになった。~
 
    3 ヒットパレード  全12景 
     ひたむきな青春  音楽:山路進一
 
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