新歌舞伎座「舟木一夫特別公演」初日開幕まで、あと十日ほどとなりました。
ワクワク、ドキドキで、待っているのは私だけじゃないに決まってますよね。
落ち着かないので、ちょっとだけ、第一部のお芝居「いろは長屋の用心棒」について、ちょこっとアップしてみよう~っと(笑) 原作は時代物の第一人者である山本周五郎氏。私としては舟木さんのお芝居で今回が周五郎の作品は初めて?というのは意外な気がしました。山本周五郎氏の作品世界と舟木さんとがなんとなく違和感なく感じられる私です。
~いつものようにウィキペディアにお世話になります~
山本 周五郎(やまもと しゅうごろう)
1903年(明治36年)6月22日 - 1967年(昭和42年)2月14日は、日本の小説家。本名、清水三十六(しみず さとむ)。
ペンネーム「山本周五郎」の由来として(他のペンネームとして、俵屋宗八・横西五郎・清水清・清水きよし・土生三・佐野喬吉・仁木繁吉・平田晴人・覆面作家・風々亭一迷・黒林騎士・折箸闌亭・酒井松花亭・参々亭五猿を用いた)、自身の出世作となった『須磨寺附近』を発表する際に本人の住所「山本周五郎方清水三十六」と書いてあったものを見て、文藝春秋が誤って山本周五郎を作者名と発表した説があるが、以前にも山本周五郎をペンネームとして使用していた形跡があり定かではない。
しかしながら雇主であった店主の山本周五郎は、自らも酒落斎という雅号を持ち文芸に理解を持っていた。その為、周五郎を文壇で自立するまで物心両面にわたり支援し、正則英語学校(現正則学園高等学校)、大原簿記学校にも周五郎を通わせている。ペンネームにはそのことに対する深い感謝の念が込められていたと思われる。
作風は時代小説、特に市井に生きる庶民や名も無き流れ者を描いた作品で本領を示す。
作風は時代小説、特に市井に生きる庶民や名も無き流れ者を描いた作品で本領を示す。
また伊達騒動に材を求めた『樅ノ木は残った』や、由井正雪を主人公とした『正雪記』などの歴史小説にも優れたものがある。
山本の小説に登場する人物は、辛酸を嘗め尽くし、志半ばで力尽きてしまうものが少なくないが、かれらに、生きる上でのヒントとなる、含蓄のある台詞を吐かせる、というのも山本の作風である。
人情裏長屋 山本周五郎 新潮文庫
(解説 木村久邇典 より 一部転載させていただきました。)
(解説 木村久邇典 より 一部転載させていただきました。)
人情裏長屋「一 おちぶれて来る人の寄り場所」より、信兵衛さんのプロフィールっぽいものを少々・・・
松村信兵衛に会いたい人は京橋炭屋河岸の丸源という居酒屋にゆけばいい。もし丸源にいなくっても、よそを捜すよりそこで待っているほうが早く会える。住居は木挽町一丁目の十六店という裏長屋であるが、殆ど寝るときのほかはいた例がない。・・と、云えばおわかりであろう。彼はいつも酔っている。浪人だということはたしかだし、これといって稼ぐ風もみえないが、年じゅう酒びたりのうえに相長屋で困っている者があるとよく面倒をみる。年はまだ三十になるまい。眼にちょっと凄みはあるが笑うと人なつっこい愛嬌が出て、子供たちにも「松村のおじさん」と人気がある。いつも垢のつかない着物を着て、髷も月代(さかやき)もきれいに剃っているから、素面(しらふ)のときはなかなか凛とした人品だ。初めは「さる御大身の息子」だとか「実は大名の御落胤だそうだ」などという噂まで立ったくらいである。
全編でも文庫本で40ページ足らずの短編ですが、連続テレビドラマ風な軽いタッチの小見出しが「一から五まで数ページごとにつけられています。
二 相手を立てて、それからの沙汰
三 不幸は友を伴(つ)れて来る故事
四 蕎麦は夜泣きの子も育つなり
五 またたちかえるみな月の宵
もちろん、原作そのままではなく、主人公である松村信兵衛という人物と裏長屋の住人たちの暮らしの匂いをモチーフにした人情の機微の世界をあらたに創り上げられるのでしょう。
きっと「舟木信兵衛」の魅力が満載の「オリジナル」という意味で「いろは長屋の用心棒」というタイトルがつ
けられているのでしょうね。
出演者の方々の座組も、舞台芝居の世界の醍醐味を知り尽くした「多士済々」の俳優さんぞろいですから、上質の「娯楽人情芝居」が期待されますね。
なんだか笑ったり泣いたり・・私としてはとっても忙しく無条件で自分の感覚を全開にしてパァ~ッと開放的に楽しめそうでわくわくしています。何しろゲラで人情ものには弱い私ですから既に原作を読んだだけでクスッ!としたり、ウルウルしたりしています。
なんだか笑ったり泣いたり・・私としてはとっても忙しく無条件で自分の感覚を全開にしてパァ~ッと開放的に楽しめそうでわくわくしています。何しろゲラで人情ものには弱い私ですから既に原作を読んだだけでクスッ!としたり、ウルウルしたりしています。
どアップの舟木信兵衛さんの妖しげな表情と手まねき・・・この流し目・・どうよ!(笑)
舟木さんが、この先も、どんなお芝居にチャレンジなさるのか考えると、結構、ひとりで妄想して楽しめます。私としては、池波正太郎さん原作の「剣客商売」の秋山小兵衛なんかは、これからの舟木さんにピッタリという感じがしています。何しろ早くに妻を亡くし、晩年になって40歳も年下の後添えをもらったという魅力的な男性ですから、今の舟木さんにこれほどピッタリのお役はないような・・・(笑)
年輪を重ねて円熟した魅力と、一方で若い頃の輝きや可愛らしさを失っていない男の魅力を歌だけではなくお芝居のフィールドでもみせて下さる舟木さんにブラボー!ですね。
もう、お稽古も軌道に乗って、着々と進んでいらっしゃるのでしょう。舟木さん初め、一座の皆さまがお元気で無事に初日を迎えられますことを心からお祈りしています。